美味しい食器で召し上がれ
私の生家には、食器がたくさんある。
あまり関心が無い方から見れば、その人数でそんなに必要? くらいある。
皿なんて数えきれない程あるし、湯呑みも熱いお茶用から、冷茶専用まで取り揃えているし、お値段がする物だとセットの茶托もある。
そしてお猪口だけで十種類以上あるし、ワイングラスも多分同じくらいある。
少し変わり種でいけば、ラッキョウと福神漬け専用で買った物や、食器にも保存容器にも使える、装飾がついた蓋付き食器。バーベキューの時だけ登場するビールジョッキ、なんて物もあったりする。
これはひとえに、料理によって使う食器を変えたい、飲み物によって使用するグラスを変えたい、そんな希望があるからだ。
(お高めの食器を飾る戸棚もあるくらい、祖父が熱心に集めていたおかげでもある)
同じ料理でも、器によって味の感じ方が全く違う、というのが母の持論である。
簡単に言えば、カレーやパスタをご飯茶碗で食べるのは味気ないし、お味噌汁を耐熱ガラスコップで飲むのは、ちょっとご遠慮。湯呑みでワイン? まぁ飲めるけどさぁ……なんて話だ。
我が家は季節イベントが好きなので、誕生日やおひなさま、十五夜、クリスマス、年越し・正月など、料理を作ったり買ってきたりして、自宅のテーブルに並べて楽しむ。
その際、適当な食器に盛り付けたり、購入したプラ容器のまま、テーブルに出すことはあまりない。
イベント時にしか使用しない皿を引っ張り出してきて、メイン料理を盛り付けたり、出来合いサラダでも、サラダボールやガラスの器に開けたりして、綺麗に見えるようセッティングする。
思い出の為に写真は撮るが、別にインスタ映えを目指しているわけではなく、テーブル上が綺麗だと、食事に対する意欲も更に上がる。
テーブルクロスも変え、花まで生ければ完璧である。
季節行事では特に、何を作りたいかに加えて、この食器を使いたいから、この料理を作る、なんて決め方もする。
例えば、気に入って買ったスープカップを使いたいから、ミネストローネを作る。
一目惚れしたワイングラスでワインを飲みたい、このグラスにはロゼが映えるから、ロゼに合う料理を考える。
などなど。
綺麗な食器類がテーブルに並べば、料理の美味しさも倍増である。
普段使いの物もそうだ。
和食を考えると分かり易いが、一品ずつ違う容器に入って並んでいると、見た目も美しい。
焼き魚だって、長方形の皿に乗せてあると、料亭感が出る。
醤油もボトルから直接かけるより、醤油差しや、あらかじめ醤油小皿にうつしてあった方が、粋な気がして好ましい。
それから最近登場した、冷たいおでん。あれはガラス容器で食べると、ジェル状のタレが綺麗で、何だか余計にテンションも上がる。
お刺身も同じくガラスの皿に乗せ、お猪口もガラス。ついでにちろりを揃えたら、あっという間に旅館気分だ。
私はそんな血筋を存分に受け継いでいるので、作った料理にふさわしい、綺麗な器で食べることが大好きだ。
特に季節行事の時は、大皿を分ける取り皿も2枚くらい欲しい。皿の上で味が混ざらないようにしたいし、ケーキはちゃんとケーキ皿(お菓子用皿)で食べたい。
せっかくの美味しい料理を、別に食器なんて適当でいい、で済ませてしまうのは、ちょっと勿体無いと思う。
サラダもパスタもケーキもチキンも、おせち料理もお刺身も、胃の中に入れば一緒なんだし、一枚の取り皿で結構。そんな考えを否定するつもりはない。が、やっぱり少し悲しい。
その料理に合った器を使い、綺麗に食事をするのは楽しいものだ。
綺麗な食器って高いじゃん! と思われるかもしれない。
実際、家族に連れられ食器を見に行くと、私自身も同じ事を思う。
すごい綺麗! とうっとりする食器は、確かに高いのだ。
特別に高価なもので無くて良いのである。手に取りやすい値段で、気に入った食器があればベストだろう。
それこそ百均でも一目惚れの食器であれば、テーブルに並ぶだけで食卓も楽しくなる。
食器は、食事を美味しくする一因だと、私は思う。
特定の料理や、イベント時にしか使用しない食器も、特別感があると考えている。
食器を選ぶ観点から、作る料理を考えてみる視点も、面白いのでオススメしたい。
もうすぐクリスマスがやってくる。
自宅でクリスマスをしてみようかな、と思っている方は、ぜひ、食器にも目を向けてみてほしい。
難しく考えることは何もない。
奮発して少し高いビールを買っちゃおうかな? そう思う時に、じゃあビール用のコップを考えてみようかな?
コンビニでケーキを買って帰ろうかな? そんな時に、入っているプラ容器ごと食卓に出すんじゃなくて、皿に移してみようかな?
それくらいの気軽さで始められる一興だ。
皆様の食卓に彩が添えられ、食事がより一層、楽しい時間となれば嬉しい。
そんな事を思いながら、このエッセイを終わろうと思う。
さぁ、美味しい食器で召し上がれ。
お酒の話が多いが、私は別に呑兵衛じゃない。
ほんとだよ!
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