第11話
2人とも着替えた後、いつものように勉強が始まった。
ノートをめくる音やペンで書き込む音以外は、2人の息遣いくらいしか聞こえない静かな空間。
お互いに確認の為に話したりもするが、基本的にはお互いが無言で、黙々と自分のペースで勉強をしていた。
復習では現在学校で習っているところを確認し、予習では2年に上がってから習い始めるような範囲までやっている。
近々学力確認テストという中学3年生までの範囲から幅広く出題される5教科のテストもあるらしく、念の為にそちらの方の復習も行う。
6時ごろ、階下からお母さんの声が聞こえた。
「夜ご飯ができたみたいね。一旦勉強はおわりよ」
「もうそんな時間か、おばさんの作るご飯も美味しいからな、早く片付けて下に行こう」
手早く教科書やノート、筆記用具を片付けて部屋を出る。
リビングに行くとお母さんが料理をテーブルに並べていた。
手伝おうとしたが、手を洗ってきなさいと言われたので洗面台へあなたと行く。
戻ってきた時にはほかほかのご飯や味噌汁までよそってある。
「冷めないうちに食べましょう」
「そうだな。おばさんの料理は冷めても美味しいけど、やっぱ出来立てが1番だもんな」
「「いただきます」」
声を揃えて手を合わせる。
お父さんはまだ帰ってきておらず、3人で食卓を囲み、夜ご飯を食べ始める。
いつものことながら美味しくて、あなたの満足そうな顔に少し悔しくなる。
「お前だって料理の腕はどんどん上達してるだろ?高校生がベテランの主婦に勝とうとするなよ」
あなたが私の気持ちにすぐ気付いてそんなことを言うから、お母さんまで私を見ながらにやにやとしてくる。
「そのにやにや顔をやめてくれないかしら、私は別に何も思っていないわよ」
恥ずかしくなってそんなことを言ってしまうが、顔には出ない私の気持ちがあなたを通してバレてしまった。
なによ、私の娘は無表情なのに可愛いわねって、あなたまで同意して頷かないでほしい。
無言の抵抗をしながら夜ご飯を食べ終わり、あなたと一緒に手を合わせてごちそうさまをすると、あなたは私の分の食器もまとめて流しに持って行く。
私はソファに移動して、あなたを待つ間テレビをつけてニュースを流し見る。
あなたが戻ってきて私の隣に座るので、肩に寄りかかって食休み。
手も繋いで、あなたの温かさを堪能する。
背後からお母さんの孫はいつかしらという戯言が聞こえたが聞こえないふり。
あなたも余裕たっぷりに苦笑なんてしてないで、少しは慌てたりすれば良いのに。
30分ほど食休みをとったら、次はお風呂。
どっちから入るか目線で問うと、1番風呂を譲ってくれた。
お母さんが一緒に入れば良いのにとか言ってくる。
今日は何回もからかってくるからもう無視する。
部屋に着替えを取りに行き、浴室へ。
今日も疲れたし、ゆっくりお風呂に入って癒されよう。
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