第6話 sideシリウス

自室に戻る道すがら、侍女リゲルが問いかけてきた。


「どういうおつもりですか、シリウス殿下」

「なにが?」


リゲルの質問をシリウスは緩やかにかわす。

【なぜ、シオンに自分が第二王子であることを隠して接するのか】

と聞きたいのだろう。

シオンが答えないことを悟るとリゲルは溜息をついた。


「シオン様を傷つけるつもりなら容赦しませんよ」

「お前が出会ってすぐの他人に肩入れするなんてな。

 大丈夫、傷つける嘘にはしない。

 ただ、本当の俺を知ってもらいたいだけだ」

「猫被ってるのは本当の俺に入るんですかね」

「不敬だぞ、リゲル」

「すみません。つい本音が」


乳母兄妹として育ったため、リゲルは容赦がない。

だがその分、裏がなくてやりやすいとシリウスは考えていた。


「彼女、何色だった?」

「白です。清らかなオーラでした」

「まさに神の使いだな」


リゲルは人のオーラが見える。

人の善悪だけでなく、嘘や恋心などもオーラが教えてくれるという。


(俺に打ち明けるのは随分勇気が必要だったに違いない)


その友情に報いるよう、

彼女の能力については2人の秘密にすると固く誓った。


「引き続き、様子見を頼む。俺も出来るだけそちらに顔を出すようにする」

「かしこまりました」


リゲルが礼をしてシオンの元に戻っていく。

国の都合でシオンを召喚したのは自分だ。

彼女が尽くしてくれるなら、

シリウスは誠実に向き合わねばならないと考えていた。


「母上と同じ白色か。運命を感じてしまう俺に王たる資格はないんだろうな」



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