第2話 数秒前
私は数秒前まで、日本にいる普通の会社員だった。
ちょーっとブラックよりで、納品ぎりぎりに上司に仕事を押し付けられたり、
7時出社23時退勤が週6.7続くような会社だっただけで。
世の中には私よりもっと辛い人がいるんだと思わないとやってられなかった。
今日は30連勤を終えて、注意力が散漫してたらしく、
歩行者信号が赤であることに気づかなかった。
横から鳴らされたクラクションで、私は死ぬんだと理解した。
走馬灯のように家族、友人、会社の人の顔が流れていった。
最後に見たトラックの運転手の顔が一番鮮明に覚えている。
私が悪いのに、私の死を背負わせてしまうんだから申し訳ない。
強い衝撃と大きな音に包まれて、私の視界は暗く落ちた。
平家詩音(享年26歳)だったはずが異世界に聖女として召喚されたらしい。
……全然理解が追い付かないけれど。
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