国の観察対象になりまして ※推敲の為少し投稿ペース落ちます

@kikilala0805

第1話 異世界召喚

【光】

それがその人を初めて見た時に抱いた印象だった。

眩しくて目が焼けてしまいそうなほどに。


-----------------------------------------------------------------------------------------------


豪奢な装飾の部屋、扉付近に数人黒服の騎士が控えていた。

日本とは違う景色に戸惑う。


薄水色の髪に深い紅の瞳を持つ美丈夫。

騎士とは違う白色の制服を完璧に着こなしている姿に、

シオンはつい見とれそうになった。

その男性はシオンの前に跪いて、気遣わしげに声をかける。


「お待ちしておりました聖女様。

 召喚に応じてくださったこと、大変感謝いたします」

「貴方は……?」


(召喚って言った?召喚って異世界転生的な……????

WEB小説限定のことだと思ってたのに)


「私の名はシリウス。貴女のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「平家詩音です」

「シオン様、異世界の聖女である貴女に協力していただきたいのです」

「協力って」

「我がシュムック王国は今、危機に瀕しています。その憂いを払ってほしいのです」


真剣に告げるシリウスはとても美しい。見る者皆、眩暈がするほどに。


(アイドルなら世界取れたわ、きっと)


なんて、そんなことを考えている場合ではない。


「聖女だなんて…私、何も」

「出来ますよ」


失礼、とシリウスはシオンの手を取り、自身の手と重ねる。


「手の平に意識を集中させてください。気を集めるように」

「……え?」

「いいから」

「はい」


(出来なくても知らないから!) 


疑いつつ、言われた通りイメージする。

触れた手が温かくなっていくのをシオンは感じていた。


「上手です」

「あ、あまり褒めないでください」

「本当のことですから。見てください」


シオンの手の甲に光る紋様が浮かびあがる。


「なに……これ……」

「聖女の証、とでも言いましょうか。これで貴女の力が確かなものになりました」

「そんな、私これから……(どうなるの?)」


聞きたい言葉が紡げないまま、シオンの意識は途絶えた。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る