GWの有効活用
5月5日こどもの日。今日はいつも通り渡と護と一緒にボーリング場に来ている。でも今日はもう一人、悠人くんも一緒だ。青くて涼しげな服を着た悠人くん。私服は結構ラフな感じが好きなのだろうか。
「高校生って最高だね〜、カラオケもボーリングも生徒だけで行けるなんて。ドリンクバー行こ!」
「渡めっちゃはしゃいでるな!よっしゃ俺ドリンクバー行こ!渡行こーぜ!」
「おう!カスタムしまくるぞ〜」
やっぱり悠人くんと渡は気が合った。性格というか、誰にでも親しく接する点は同じだったから、すぐ仲良くなった。というか僕より仲良くない?
一昨日の寝る前の会議で、今日のプランは徹底して決めていた。まずは渡と悠人くんの仲を作ることで、僕らの輪の中に彼を入れるというステップは簡単だった。お互いすぐに名前で呼んでいるんだ、僕でさえ、くん付けが精一杯なのに。
僕が幸せを掴むための一大作戦。側から見たら何て言われるだろう。叶わない夢を追い続ける夢想家か、それとも自分の幸せのために親友の嫌なことをさせる自己中心的なやつか。僕的には、どちらも当てはまっている。気にはしないさ、だって所詮恋をするとみんなそうなるものだろ。好きな人にもっと見てほしくて、時には近くにいるやつを遠ざけようとする。そんなもんだ。
だから僕は、堂々と恋をすることにした。成功する可能性は今もこれからも低いし、その後の展開が読めない脆い恋愛だけど、僕には一緒に歩んでくれる親友が嬉しいことに二人いる。だから今は、必死になるしかない。
護が一球目を投げた後にドリンクバーから渡と悠人くんが帰ってきた。2人はヤバそうな色をしたドリンクを両手に持っていた。それをテーブルに置いて渡は言った。
「渡と悠人の超気まぐれドリンクです。どうぞお飲みください」
「えっと、これ何入れたの?」
僕は一応聞いてみた。悠人くんがニヤニヤしながら言った。
「ぶどうジュースとトマトジュースとアップルサイダーとコーンポタージュ」
酷い……。ジュース系だけでまとめてるならまだしも、コンポタ……、よく見るとクルトンも入れてくれてる。
「ささ、グイッと」
「俺は飲まないぞ?」
「えー、飲もうよ護〜」
「じゃ、じゃあ一口飲んでみるね」
僕はコップに口をつけて一口飲んだ。
「うわ……」
案の定不味かった。コンポタのドロっと感、微妙にくる炭酸、主張強めのトマトジュース、ぶどうジュースだけで飲みたい。
「悠人くん、これ、めっちゃ不味い……」
「やっぱりか。じゃあ俺が飲むからちょーだい」
「え?」
悠人くんは僕の一口飲んだジュースの入ったコップをとってグイッと全部飲んだ。そして、口を曲げた。
「クソ不味いな。この組み合わせ1番ヤバいかも」
「あ、そうだね」
あまりにも急で自然な間接キスに頭が回らない。恥じらいもなく平然としている朝陽悠人という人は、本当にどうかしてると思った。
「朝陽、次お前の番だぞ」
「オッケー!ストライクとるぞー」
「あ、頑張って!」
この後は5セットやって、僕は久しぶりに筋肉痛になった。
朝陽くんについても収穫があった。ボウリングは結構上手で、そして、ヤバいジュース作ったり、1番負けた人は罰ゲームするのを提案したりと、結構ふざけるのが好きということ。
帰り際、渡の提案で4人のグループラインを作ることにした。これでいつでも4人で遊ぶ予定を組めるようになった。これで今日の目的は達成したと言える。
悠人くんと一緒にいるとすごくドキドキする。このドキドキを、いつか自分だけのもの にしたいと思った。みんなよりも悠人くんと仲良くなって、そして僕は悠人くんと付き合いたい。まだまだできて間もない目標だけど、いつか達成する。まだまだだ。
渡、護view
「悠人くん、これ、めっちゃ不味い……」
自然に話せているな。結構いい感じに仲よくなってきているな。
「やっぱりか。じゃあ俺が飲むからちょーだい」
「え?」
(え?)
思わず悠人の方をみたらさっき伊月が飲んだドリンクを悠人が一気飲みしている。
「クソ不味いな。この組み合わせ1番ヤバいかも」
「あ、そうだね」
…………、、
(護!?え、これってアレだよね!?間接キス!)
(そ、そうだな。間接キスだな……)
(陽キャだなぁって思ってたけど、こんな感じなの!?躊躇なしにグイって行ったよ!?え、陽キャこわ!)
(おちつけ渡!伊月ポカンってしてる。フォローフォロー!)
(どうしろってんだよ!!)
(あーーーー、あ、そうだ!)
「朝陽、次お前の番だぞ」
「オッケー!ストライクとるぞー」
「あ、頑張って!」
朝陽はボールを持ってレーンの方へ行った。
(ふぅ)
(護、ナイス)
これからもこういうことは多そうだ。こちら側も頑張らないといけない作戦だな。
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