閑話 『愛』

「……すいません、みいなちゃん。言い訳がましいですが……、つい我を失ってしまって……」


「大丈夫だよ。嫌だったら抵抗してたし。サーミャ呼んでね」


 やってしまいました。つい、家に連れ込んだ勢いで。みいなちゃんに麻痺をかけて、ベッドに連れ込んで、そして……。


「わ、私は大変なことを……」


「大丈夫だって。私もね、春奈ちゃんのこと好きだなって思ってたし」


 ……今信じられない言葉が聞こえたような気がします。みいなちゃんが、私のことを、好き? そんなことがあり得るのでしょうか。多様性が認められてきた社会ではありますが、同性のことを好きになってくれるケースは稀だと聞いています。


「本当……ですか?」


「本当だよ。それとね、あんなことまでしたんだからもう敬語はやめにしない? これからは、その……相思相愛の恋人同士として、さ?」


 これは、夢、でしょうか。私とみいなちゃんが恋人同士……なんていい響きなんでしょう。


「も、もちろん。これで、大丈夫? ところで恋人なんて……本当に、いいの? 普通の、かっこいい人とかじゃなくて?」


「もちろん。春奈ちゃんのこと好きだしさ? それに、もともと女の子が好きだし」


 私は感極まってみいなちゃんに抱き着いてしまいました。本当に華奢ですね。


 少しみいなちゃんの顔が赤くなっているのがわかりました。本当に、好きでいてくれている感じがして少しうれしいですね。


「みいなちゃん。こっち向いて?」


「んん? んむ……」


 こちらを向いてくれたみいなちゃんにキスをしてみます。唇を離して彼女の表情を見ると、なんとも煽情的な表情をしていました。きっとキスに弱いんですね。かわいいです。


「その、もう一回、しよ?」


「えっ。わ、私の体力が持つくらいなら?」


 そういうわけでみいなちゃんは気絶してしまいました。そんなかわいらしいみいなちゃんを抱きしめていると、つい私もねてしまいました。


「起きて、私のかっこいい恋人さん」


「むぎゅ……あっおはよう?」


 時計を見ると、時刻はすでに20時を指していました。だいぶぐっすり寝ていましたね。みいなちゃんが気絶したのが17時過ぎぐらいなので3時間は寝てましたね。


「訂正しなきゃ。しっかり起きて、私のかっこよくてかわいい恋人さん」


「起きる……」


 上体を起こして、みいなちゃんに向けて両手を広げると、彼女は私に抱き着いてきてくれました。やっぱりかわいいですねぇ。


「私そろそろ帰らないと……」


「もういい時間だもんね。またデート行こうね?」


「もちろん。予定空いたらすぐ連絡するよ」


 次のデートの予約もできましたし、服を着てみいなちゃんをおうちに送る用意をしなければ……。


 私が服を着終わった後、みいなちゃんから声をかけられました。


「ねぇ春奈ちゃん」


「なにー?」


「愛してる」


 み、みいなちゃんは恥ずかしいことを平然といいますね……。もちろん私も……。


「私も……。愛してる」


 これからこんな幸せが続くと思うと、とてもいい気分になりました。次のデートが待ち遠しいです。


◇◆◇


 誕生日の後に体調崩しました。不運です。

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