第43話 春奈ちゃんのおうち
まず春奈ちゃんと一緒に来たのは、服のお店。選んでもらった服ばかり着ていたら姉貴に他に服ないの? と煽られたから他の服が欲しかったんだよな。
「そういえば、最近メイクとかもしっかりしてますよね。心寧ちゃんにやってもらっているんですか?」
「いえ? 自分でやってますよ」
そうなのだ。俺は最近メイクが結構うまくなった自信がある。とは言え普通の人よりはだいぶ薄いっていうかナチュラルな感じなんだけどな。
「メイクすら知らなかった箱入り具合が懐かしいです」
「まぁまぁ、メイクできた方がいいじゃないですか。春奈ちゃんの隣歩くのも恥ずかしくないです!」
というわけで、俺のできる髪型に合わせやすい服装を見繕ってもらうことになった。
とはいえ俺が自分でできるのといえば、ハーフアップ、ツインテール、ポニーテールぐらいだ。
これに合う服装を今春奈ちゃんが考えてくれている。俺もファッションについて調べ始めたりしてかじってはいるものの、マネキン買いが正義ということぐらいしかいまいちわからなかった。
「こんな感じでどうですか? 一応何種類か見繕いましたが……」
「あ、店員さん。これ全部買います」
「みいなさん!?」
春奈ちゃんが選んでくれたものなら全部良いものに決まっている。ということで大人買いじゃ!
◇◇◇
まとめて待った服をサービスで家に輸送してもらった後、俺たちはお昼ご飯を済ませ、ゲームセンターに来ていた。
この騒がしい感じ、懐かしいな。昔よく音ゲーをやりに来ていたものだ。
でも今回の目的は音ゲーではなく。
「あ、そこちょっと右じゃないですか?」
「あっ」
クレーンゲームである。ちなみになぜクレーンゲームなのかというと、これには俺の絶妙な下心が関係している。
クレーンゲームを一緒に除きこむときって微妙に距離近いじゃん? あの感覚を味わいたかったわけよ。
昔の青春コンプだ。傷をえぐるようなことは言わないでくれよ?
「もう一回行きましょう。次は取れますよ」
「はいっ!」
というわけでもう一度100円を入れて、レバーに手を置く。慎重に……。
「ありゃ?」
「みいなさん?」
明らかに操作をミスった。めちゃめちゃずれた。春奈ちゃんにちょっと引かれた。
「いいですか、こんな感じで」
「は、はい」
春奈ちゃんが俺の後ろに回り込んで、俺の右手の上に右手を置く。え、なにこの感じ。ちょっとバックハグっぽいっていうかさ。あの、距離近いっす。
「ここをこうして、こうするんですよ」
「な、なるほど」
「ほら、とれました」
ごめんなさい、ちょっと距離感にドキドキして全然話聞いてなかったっす。春奈ちゃんは落としたぬいぐるみを俺に渡してくれた。うん、やっぱこのウサギ、かわいいな。
「すこしメダルゲームもやっていきませんか?」
「いいですよ?」
メダルゲームのお誘いとは驚きだ。ちなみに俺は昔からある寿司のルーレットのメダルゲームが好きだ。あれで40倍越えを当てた時は興奮したものだ。
「釣りしましょう」
「あれですか」
子供に人気の伝説のメダルゲーム。昔やりすぎて親指の皮がはがれてからはちょっと離れていたが。久しぶりにやるのも悪くないな。
メダルを購入して投入、そしてベット、釣り竿式のリモコンを振ってウキを飛ばす。
「こっちはかかりました。スーパーレアですって」
「いい具合に増えてるじゃないですか。お、こっちも来ました」
ちなみに俺は糸を切られて負けました。
うーんだめか。
その後もしばらくメダルゲームを楽しんで、運動ができる場所に移動することとなった。バッティングセンターとか、そういう場所に。
歩いて移動していると、とある一軒家の前で急に春奈ちゃんが立ち止まった。
「ここ、私のおうちなんですよ」
「え、そうなんですか? いい一軒家ですね」
ここがおうちなのか。覚えておこう。
「すこし、上がっていきます?」
「あ、いいんですか? ご家族とか……」
「今日は誰もいませんよ?」
おー。男の時だったらちょっとテンション上がってたかもしれない。
「じゃあ上がらせていただきますね?」
「もちろん。はい、どうぞ」
春奈ちゃんがドアを開けて中に入れてくれた。玄関からなんかもういい雰囲気が漂ってくる。
これが推しの家に上がるということかっ!
「私の部屋まで案内しますね。二階にありますから」
「あ、お願いします」
推しの部屋に入れるなんて、なんて僥倖か。
春奈ちゃんの部屋は、なんとも女の子らしいというか、きっちり整えられている上に、ぬいぐるみなどのかわいいものがベットにおかれていたりしていた。
春奈ちゃんの部屋を見渡していたら、後ろからガチャリと鍵が閉まるような音が聞こえた。
えっと、春奈ちゃん……? どうして鍵を……?
◇◆◇
いかがでしたでしょうか! もし面白い! 続きが気になる! と思ったら評価andフォローお願いします! 私のモチベに繋がります。もしかすると1日の投稿数が増えるかもしれません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます