第42話 久しぶりのデート
小樽でお寿司を楽しんで帰宅した翌日、俺は春奈ちゃんからお出かけのお誘いを受け、待ち合わせ場所まで来ていた。
2人で出かけませんかって誘い文句でね!
完全にデートのお誘いだぜこれは。推しとのデートでテンションが上がりすぎたのか、待ち合わせには1時間も早くきてしまった。
ちなみにサーミャはうちで映画を見てます。初めてのポップコーンを食べながら。贅沢なやつだぜ。
しかし、1時間暇だし、スマホでも見て待ちますかね〜。そう思ってスマホを取り出そうとしたところ、知らない男の人に声をかけられた。
「君可愛いね。どう? この後俺と一緒にお茶でも」
定型文! 珍しいな今時こんな硬派なナンパ。見たとこ大学デビューの大学一年生かな?
こちとら未成年だし下手したらお縄だぞ若者よ。
とりあえず無視するか……。
「あれ、そこの銀髪の君なんだけど……」
はいはい無視無視。
「おかしいな……こうやって誘えば一発って先輩が言ってたのに……」
初々しい!! 俺も昔はこんなだった気がするなぁ。頑張れ、若人よ……。つーか硬派なのは先輩かい。
すると、若人くんは後ろから誰かに拳骨を落とされた。おっ、何事だ?
「お前! どう見たって未成年じゃねぇか! 未成年ナンパしてんじゃねぇよ!」
「先輩!? 言われてみれば確かに……すいませんっした!」
硬派先輩キター! 真面目な人っぽいな。
「謝る相手は俺じゃなくてそこの子だろ! ……ん?」
「はいっ! すいませんでした!」
威勢のいいことで……というか、硬派先輩、俺のこと知ってる感じかな?
「長麦 みいなさんですよね? 俺ファンやってます! この度は本当にすいませんでした!」
「いやぁ全然大丈夫ですよ! 謝罪もいただきましたし!」
硬派先輩には優しくしとこ。俺は今の時代を真面目に生きるあんたに敬意を評するぜ。
そして後輩くん。これからも頑張ってくれ……。
「今日はこの子には先約があるのですが……何か要ですか?」
と、ここで軽く殺気を放ちながら春奈ちゃん登場! そこまで威圧しなくてもよくないかい?
2人とも震えちゃって。かわいそうだよ。
「よ、要はないです! 今回はすいませんでしたーーー!!」
「すいませんでしたーー!!」
2人は逃げるように去っていった。可哀想に……。強く生きるんだぞ……。
「みいなちゃん、怪我とか、ありませんか?」
「大丈夫ですよ? 彼ら、付き纏ったりはしないタイプだったぽいですしね」
迷惑な奴にはしつこく付き纏ったり、成功しなければ暴言を吐くやつもいる。そういったやつでは無かったわけだしな。
しかしそれはそれとして。
「ただ、助けに来てくれてありがとうございます。かっこよかったです」
今までで1番凛々しい顔をしていた。ファンとして、写真に納めておくべきだったと後悔している。
「あ、ありがとうございます。そ、それで! 早くから来ていたようですけど、もしかして待ちました?」
「一緒にお出かけするのが楽しみで早くきちゃいました。でも、着いたのはあの人たちに声をかけられる直前くらいだったので来たばかりといえば来たばかりですね」
あれ、心なしか春奈ちゃんの顔が赤いような……。熱とかないよな? 少し心配だぞ?
俺は手の甲を春奈ちゃんの額に当てて熱を測ってみた。冷たかった。冬だもんね。そりゃそうだ。
「な、なんですか?」
「顔が赤いから熱でもあるのかと思いまして。熱はなさそうで安心しました」
多分寒いから赤いんだろうなぁ。寒いと耳とかも赤くなるよね。
「と、とりあえず、お出かけ出発しませんか?」
「あ、はい。いいですよ?」
行く場所は特に決めてない。お買い物に行ったり、ゲームセンター行ったりとかしようかなとか思ってる。
服とか買いたいし。そういえば春奈ちゃん見たい映画あるとか言ってたなぁ。映画もあり。
どこに行くか考えていると、春奈ちゃんが手を繋いできた。
「さ、寒いですし。路面も凍ってきて滑りますから」
言い訳みたいな言い方するじゃん。春奈ちゃんが手繋いでくれるなら大歓迎だが?
「ふふ、そうですね。それじゃあ出発しましょうか! まずはお買い物から!」
俺は春奈ちゃんの手を引いて道を進み始めた。
◇◆◇
同時連載中の「悪役転生!? どうでもいいからモテさせてくれ!」も是非ご一読くださいな!
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