第36話 騎士団

 しかしなんだってあんな化け物が40層にいたんだ?


「おお、こいつはなかなかだね……」


「どうしたの?」


 名取さんが何かの気配を察知した様子。名取さんがなかなかというのは少しやばそうな気もするな。


「いや、もう少し先にスケルトンの大群がいるんだよね」


「あいつレベルのやつがですか? 俺あいつの大群を相手する自身はないですね」


 まさかあの骸骨が大群でいるって……?


「確かにあれレベルとか、それ以上もいるけど多くはそれ以下かな。いや、一体だけ結構やばいのもいるな。もしかしたら件の吸血鬼案件かねぇ」


 吸血鬼……もしかすると俺のスキルでなんとかできるかもしれないが。それはあくまで保険だな。格上相手に通用するのか試したことはないし。書き方的には効果ありそうだけども。


「俺が交戦したときは一体でしたが……」


「まぁ、結構期間あいてるじゃない? 何があってもおかしくないわよ。ダンジョンだもの」


 確かに。姉貴にしてはしっかりした発言だ。


 ……ごめん。


「やばいのも含めた一団がこっちに向かってきてる。レイセ、みいなちゃんと春奈ちゃんをしっかり守ってて。順番にこだわってる場合じゃない。心寧、神宮司くん。やるよ」


「かしこまりました。命の代えても」


「りょーかい。ぶっ飛ばしてやるわよ」


「俺も頑張ります」


 また、守られる側か。正直、思った以上に足手まといで、自分の力のなさを痛感する。レベル上げしっかりやらないと。


 すると、姉貴と神宮司さんの探知範囲内にも敵が入ったのか、二人は顔をしかめた。


「1体だけほんとにやばいじゃないの……」


「あれ、俺たちで勝てます……?」


「あれは僕が相手するから、二人は他の、よろしくね」


 いや、相当やばそうじゃね? すると、俺にも強大な魔力の持ち主がたくさんのつよつよ骸骨を連れてこちらに来ているのが分かった。え、これ名取さんよりも魔力量だけでいうなら多いんじゃ……。


 すると、名取さんが光の剣を召喚し、姉貴は腕に籠手をつけ、神宮司さんはさっきの鎌を顕現させた。臨戦態勢ってやつだ。


 そして、ついにその一団が姿を見せた。骸骨の馬にまたがった骸骨たち。だいたい50体ほど。その1体1体が先ほど神宮司さんが倒したやつ以上の魔力量を持っている。つまりSクラス上位以上が50体以上である。これ、名取さんとか紅さんが日本にいなかったら日本終焉レベルだったのでは?


「雑魚はおいてきたらしいね」


「数が減っていいじゃない。まぁ、いても変わらないけど」


「まぁ、対処が少し楽になりました」


 これでも減った方なんだな。Sクラス以上だけでどれだけいるんだろうか。すると、一団の中から一体の骸骨が現れた。


『****************』


「え? なんだって?」


 その骸骨はききとれないが確かに言語のようなものを口にした。そして、名取さんに剣を向けた。


『********』


 そして、リーダーらしき喋る骸骨は馬を走らせ名取さんへと突撃する。そして、一瞬にして名取さんの元にたどり着いた骸骨は剣を振りぬく。


 まぁ名取さんは当たり前のように光の剣でそれを防ぐが……。


「くっ重いじゃんか!」


 名取さんでも重いと感じる一撃らしい。攻撃を受け止められた骸骨は、後方の仲間たちに向かってないか支持のようなものをだした。


『****!』


 すると、一斉に静観していた骸骨たちが動き出した。どうやら、全員で名取さんを相手取るつもりらしい。


 しかし、そこに姉貴と神宮司さんが割りこんだ。


「通さないわよ」


「お前らの相手は俺たちがする」


 その後ついに、名取さんVSリーダースケルトンそして、姉貴と神宮司さんVSSクラス上位スケルトン50体程度の戦いが始まった。

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