第26話 目指す時

 ダンジョンから名取さんに連れ出してもらうと、なんといつも見ていた景色がまっさらになってしまっていた。


 あれぇ、結構な高層ビル群だったはずなんだけど。


 まっさらになってしまった土地の中心に、見覚えのある人が1人立っている。あれ、姉貴じゃない?


 すると、姉貴はこちらに気が付いたのか、もう一人いた女性を連れてこちらに来た。


「無事帰ってこれたのね。お疲れ様」


「ただいまお姉ちゃん。それで、となりの方は?」


 俺がそう聞くと、名取さん、そして春奈ちゃんに信じられないものを見る目をされた。


「君、知らないのかい?」


「すごく有名な方ですよ」


 マジで?


「あはは、お初にお目にかかる。僕の名前は土佐霧 未久。Sクラス9位をやってるんだ。自称ではあるけど、僕は君の一番のファンだと思っているよ」


 ……Sクラス9位!? 姉貴より強いじゃん!!


 というか、俺のファンってどういうことだ……?


 いや、今未久って名乗ったよな? もしかして、ミクさんか!?


「これはご丁寧にありがとうございます。Bクラス探索者で配信者の長麦 みいなです。配信を見てくれてるってことで知っているとは思いますが」


「いや、本当直接会えてうれしいよ。先の戦い、みいなちゃんの姉には世話になったね」


「そういうのって本人がいないところで話すものじゃない?」


 ごもっともで。


◇◇◇


 その後、ミクさんに日頃のお礼を言っていると、警察や、他の探索者も集まってきて、事情聴取などが始まった。


 俺と春奈ちゃんはある程度の聴取を受けた後、詳しいことはSクラスの人達に聞くといわれ家に帰された。


 ということで姉貴を置いて家に帰ってきたわけだが。


 俺、今回悪魔とは戦えなかったけどSクラスの蜘蛛とはそこそこやり合えたんだな。ステータス、どうなってるんだろ。


◆◆◆

名前:長麦 みいな

性別:女

年齢:13

種族:吸血姫


レベル:89

攻撃:11704

守備:2225

魔力:21365

知力:21198

精神:2289

速度:11675


スキル:【鑑定眼】【種族特性:吸血姫】

◆◆◆


 いやつっよ。耐久カスなことに目をつぶればもうSクラスとして活躍できるレベルだ。魔法の火力も結構上がってるなとは思ってたんだ。


 今回の騒動がひと段落したら、試験を受けてAクラス、そしてSクラスを目指そう。


 昔からの夢だった。もうあの人と勉として話すことはないだろうが、それでも、俺の雄姿、届くといいな。


◆◇◆


 みじかめ。

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