第25話 Aクラスってなんだっけ(迫真)
左半分の4本の脚が消滅したデットスパイダーは慌てることなく、なんらかの魔法を発動した。マジかよ、痛みとかないんか?
すると、デットスパイダーの左半身に黒い何かが足を形作った。いわば、魔法の義足である。
そんなことできるんだ。参考にさせてもらおう。
しかし、その義足は瞬時に消滅した。なんだと思って春奈ちゃんのほうを何気なく見てみると、その目が金色に輝いていた。
あーずるい! ずる過ぎる! 【金色の魔眼】の魔法解除効果か!
まじでなんでもありだなあれ。
「みいなさん! 麻痺はレジストされました! これからあれが暴れると思うので私の前には絶対に出ないでくださいね!!」
「了解しました!」
そういえば麻痺もあったねぇ。マジで魔眼、強くねぇか?
とりあえず蜘蛛が動くということで俺は後方へ下がって攻撃を喰らわないように控える。
義足が消滅し、蜘蛛が崩れ落ちたその次の瞬間、蜘蛛は右半身の足をがむしゃらに振り回して暴れ始めた。うん、まぁせっかくの魔法が消されればそんな風にもなるわな。
攻撃力が攻撃力なだけあってあれに当たれば俺はただでは済まないだろうな。
しかし、そのような攻撃であっても春奈ちゃんは物ともしていない。それどころか、全て弾いて攻撃まで加えている。
相手がSクラスでもそこそこの方なのに、春奈ちゃんってすごいなぁ……。Aランクってなんだっけ……?
しかし、さすがに相手もSクラス。ほぼほぼダメージが入っていないように見える。ここは俺の出番のようだな。
「――原初の炎よ、わが呼びかけに答え顕現せよ。その真なる焔は全てを焼き尽くす弓とならん。『
燃え盛る魔法の弓。炎系の最強火力。俺はさ、火力を出すなら炎系だと思うんだよ。かっこいいし。
というか最近炎系をかなり使いこんでいたせいか、他の魔法よりも炎系が得意になった。極限弓系の魔法を使えるのは火と闇だけだしな。
装填するは『
魔法を覚えるのは得意だが、開発は弓系の魔法以外かなり難しい。弓系の魔法は開発慣れした。
真っ赤に燃え盛る弓の魔法に、真っ青な炎が形作る矢が装填される。
「九重さん!」
「了解です!」
もはや名前を呼ぶだけで俺の魔法の軌道から避けてくれる。コンビネーションはばっちりかな!
「『
真っ青な炎の矢が放たれたその時、すでに巨大な蜘蛛の全身は黒焦げになるほど焼き尽くされ、動きを止めていた。
炎が消えたその時、蜘蛛の体が消滅していく。俺達二人が下位ではない、Sクラスに勝利した瞬間である。
「なんとか、なりましたね」
「ええ、なんとか」
春奈ちゃんの額には一筋の汗がにじんでいる。さすがに蜘蛛の攻撃をしのぐのはしんどかったらしい。そりゃまぁ、ステータス2万越えしてる項目もあったしな。
姉貴でも倒すのに少し時間がかかるんじゃなかろうか。まぁ、スキルの自己強化を使わなければの話だけど。
「しかし、これはスタンピードの前兆といって問題ないレベルの異常だと思います。引き返して、地上に伝えに行きましょう」
「そうですね、応援の要請、避難などが必要だと思います」
俺達が、相談し、配信を見ているみんなに避難勧告をしようとした、その時だった。
「もう、始まってるんだよ。スタンピードは、ね」
俺達の間に1人の女性が姿を現し、そう言い放った。
いつの間に、そこに。まったく気配を感じなかった。
「みいなさん! 敵です! 戦闘の用意をし……」
最後まで言い切ることは許されず、その女性の回し蹴りによって、春奈ちゃんは遠くへ吹き飛ばされた。剣で防御はしていたらしいので、怪我はないだろう。
俺は即座にこの女性と距離を取ろうと、翼を使い後方空中へと飛んだ。
が、しかし、この女性は俺の動きを読んでいたらしく、瞬時に俺の目の前に現れ、魔法を行使した。
「『
光の斬撃魔法が、俺の胴を袈裟切りにし、俺の体を吹き飛ばす。
俺は何回かバウンドするほど吹き飛ばされたが、さしてダメージはなかった。
光の斬撃のダメージも思ったほど大きくない。魔法耐性のおかげだな。
すでに回復も始まっている。ただ、服がそこそこ血だらけになってしまったな。
「思ったより、堅いね」
あの金髪の女性は、一体何者だ?
「ん? 私は……
心を読まれたのか!?
「私はまぁ、そういう『目』があるからね」
そういうスキルか? 俺は『目』について語っているうちに俺は鑑定を行使した。
◆◆◆
名前:ミザリー
性別:女
年齢:0
種族:模擬悪魔
レベル:100
攻撃:58462
守備:56810
魔力:47739
知力:47659
精神:51928
速度:44776
スキル:【悪魔王:パイモン】
◆◆◆
これはまた、まずいのが来たなぁ!?
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