第23話 2回目のコラボ配信
後日。ついに俺達の二回目のコラボ配信が始まる。打ち合わせ等も事前に済ませているから、問題はないな。
「では始めます」
「はい。ではこちらも」
二人同時に配信を開始する。
「どうも皆さん、こんにちは。Aクラス探索者の九重 春奈です」
「こんにちは、先日、Bクラス探索者になりました。長麦 みいなです」
:コラボええなぁ!
:二人ともこんにちは!!
ミク:¥50000 おっはよー!!
二人で挨拶をした後、探索前の雑談としゃれこんだ。
「なんとみいなさんがBクラスになったということで、先日はお祝いのスイーツを二人で食べてきました」
「今話題のてんこもりぱふぇを食べてきました。なかなかいいものでしたね」
いろいろなスイーツが詰め込まれたぱふぇ。めちゃめちゃ美味かった。
話題だったし、俺達も一度SNSには上げているが、めちゃめちゃ美味かったので、ここでも自慢している。
:あれ食べてきたんだ
:まじで美味しいよね。なんであんなにてんこもりなのに美味しいんだろう
ミク:¥50000 ボクも最近札幌に来たから食べたよ! 美味しいよね!
「ミクさんも食べたんですね。というか、こちらに来てたんですか」
「もしかしたら、どこかで会うこともあるかもしれませんね」
俺の隣で、春奈ちゃんが苦笑しながらいった。あ、なんかいいな、この感じ。
:札幌にはいけません
:札幌住みでたまに外に居るみいなちゃんとか春奈ちゃんとか見るけど、圧がすごいから声かけとか無理
ミク:¥50000 ワンチャンあるかもね?
「さて、そろそろダンジョン探索に入りましょうか」
「そうですね、今日は30層からの探索になります」
俺達が探索を開始すると、いきなり、「奴」の気配がした。
「立て続けですね。『
「珍しいですね」
現れたのは、なんとバジリスク。お前最近多いぞ。次来たら出禁だからな!!
「私が前衛を張ります」
「お願いしますね」
前回と同じように、春奈ちゃんに前線を張ってもらい、俺は高火力の魔法を展開の用意をする。
しかし、それはかなわなかった。
背後から別の魔物が現れたからだ。バカでかい蜘蛛の魔物。どうしてこいつの気配に気づかなかったんだ!?
高さ20mはある洞窟の幅を優に埋める巨大な蜘蛛。
鑑定結果は以下のとおりだ。
◆◆◆
種族:デッドスパイダー
レベル:78
ステータス:攻撃 21148
守備 24212
魔力 8901
知力 9043
精神 15098
速度 6673
スキル:<闇魔法>
<呪毒>
◆◆◆
化け物め!! Sクラス中位レベルか!
「九重さん! 非常事態です! バジリスクは単身でお願いします!」
「了解です! できるだけ早く終わらせてそちらに向かいます!」
俺の勝利条件は春奈ちゃんがバジリスクを討伐するまで耐えることだ。
俺は右手を噛んで大量の血を辺りに漂わせる。
一斉にそれを硬化させ、壁を展開する。これで一時的に攻撃を防げるか?
「――冥府より来たれ、災厄の弓よ。暗く、より暗く。何者にも見通……くっ!?」
壁の裏に居たが、死の予感が強く浮かんだ。とっさに俺は横に転げて回避する。
すると、俺が今までいた場所に闇の奔流が押し寄せ、血の盾を当た方もなく消滅させていた。
俺は全力回避しながらの戦いが一番だと判断し、空を飛ぶ。
動きが鈍重なため、その巨大な腕の攻撃は当たらない。まぁ、当たったら一撃で死亡確定だが。
俺は定期的に飛んでくる闇の波動を避けつつ、なんとか火炎の弓を展開した。
闇の波動を全てよけ、火炎の矢を装填。そして、すぐさま放つ。
その業火は蜘蛛の左半身の足を消し飛ばす。
ここからは大分有利に戦えるか?
「遅くなりました!」
「九重さん! 一緒にやりますよ!」
これで前衛ができた! さぁ、ここからが俺達のターンだ。覚悟しろよ! デッドスパイダー!
左半分の4本の脚が消滅したデットスパイダーは慌てることなく、なんらかの魔法を発動した。マジかよ、痛みとかないんか?
すると、デットスパイダーの左半身に黒い何かが足を形作った。いわば、魔法の義足である。
そんなことできるんだ。参考にさせてもらおう。
しかし、その義足は瞬時に消滅した。なんだと思って春奈ちゃんのほうを何気なく見てみると、その目が金色に輝いていた。
あーずるい! ずる過ぎる! 【金色の魔眼】の魔法解除効果か!
まじでなんでもありだなあれ。
「みいなさん! 麻痺はレジストされました! これからあれが暴れると思うので私の前には絶対に出ないでくださいね!!」
「了解しました!」
そういえば麻痺もあったねぇ。マジで魔眼、強くねぇか?
とりあえず蜘蛛が動くということで俺は後方へ下がって攻撃を喰らわないように控える。
義足が消滅し、蜘蛛が崩れ落ちたその次の瞬間、蜘蛛は右半身の足をがむしゃらに振り回して暴れ始めた。うん、まぁせっかくの魔法が消されればそんな風にもなるわな。
攻撃力が攻撃力なだけあってあれに当たれば俺はただでは済まないだろうな。
しかし、そのような攻撃であっても春奈ちゃんは物ともしていない。それどころか、全て弾いて攻撃まで加えている。
相手がSクラスでもそこそこの方なのに、春奈ちゃんってすごいなぁ……。Aランクってなんだっけ……?
しかし、さすがに相手もSクラス。ほぼほぼダメージが入っていないように見える。ここは俺の出番のようだな。
「――原初の炎よ、わが呼びかけに答え顕現せよ。その真なる焔は全てを焼き尽くす弓とならん。『
燃え盛る魔法の弓。炎系の最強火力。俺はさ、火力を出すなら炎系だと思うんだよ。かっこいいし。
というか最近炎系をかなり使いこんでいたせいか、他の魔法よりも炎系が得意になった。極限弓系の魔法を使えるのは火と闇だけだしな。
装填するは『
魔法を覚えるのは得意だが、開発は弓系の魔法以外かなり難しい。弓系の魔法は開発慣れした。
真っ赤に燃え盛る弓の魔法に、真っ青な炎が形作る矢が装填される。
「九重さん!」
「了解です!」
もはや名前を呼ぶだけで俺の魔法の軌道から避けてくれる。コンビネーションはばっちりかな!
「『
真っ青な炎の矢が放たれたその時、すでに巨大な蜘蛛の全身は黒焦げになるほど焼き尽くされ、動きを止めていた。
炎が消えたその時、蜘蛛の体が消滅していく。俺達二人が下位ではないSクラスに勝利した瞬間である。
「なんとか、なりましたね」
「ええ、なんとか」
春奈ちゃんの額には一筋の汗がにじんでいる。さすがに蜘蛛の攻撃をしのぐのはしんどかったらしい。そりゃまぁ、ステータス2万越えしてる項目もあったしな。
姉貴でも倒すのに少し時間がかかるんじゃなかろうか。まぁ、スキルの自己強化を使わなければの話だけど。
「しかし、これはスタンピードの前兆といって問題ないレベルの異常だと思います。引き返して、地上に伝えに行きましょう」
「そうですね、応援の要請、避難などが必要だと思います」
俺達が、相談し、配信を見ているみんなに避難勧告をしようとした、その時だった。
「もう、始まってるんだよ。スタンピードは、ね」
俺達の間に1人の女性が姿を現し、そう言い放った。
いつの間に、そこに。まったく気配を感じなかった。
「みいなさん! 敵です! 戦闘の用意をし……」
最後まで言い切ることは許されず、その女性の回し蹴りによって、春奈ちゃんは遠くへ吹き飛ばされた。剣で防御はしていたらしいので、怪我はないだろう。
俺は即座にこの女性と距離を取ろうと、翼を使い後方空中へと飛んだ。
が、しかし、この女性は俺の動きを読んでいたらしく、瞬時に俺の目の前に現れ、魔法を行使した。
「『
光の斬撃魔法が、俺の胴を袈裟切りにし、俺の体を吹き飛ばす。
俺は何回かバウンドするほど吹き飛ばされたが、さしてダメージはなかった。
光の斬撃のダメージも思ったほど大きくない。魔法耐性のおかげだな。
すでに回復も始まっている。ただ、服がそこそこ血だらけになってしまったな。
「思ったより、堅いね」
あの金髪の女性は、一体何者だ?
「ん? 私は……
心を読まれたのか!?
「私はまぁ、そういう『目』があるからね」
そういうスキルか? 彼女が『目』について語っているうちに鑑定を行使した。
◆◆◆
名前:ミザリー
性別:女
年齢:0
種族:模擬悪魔
レベル:100
攻撃:58462
守備:56810
魔力:47739
知力:47659
精神:51928
速度:44776
スキル:【悪魔王:パイモン】
◆◆◆
これはまた、まずいのが来たなぁ!?
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