第22話 Bクラス
白い扉の前に立つ俺に、1人の女性が声をかけてくる。
「お疲れさま~! すごい強いね君! 将来はSクラスになれそうな予感がするよ!」
「ありがとうございます。立川さんに言われては期待してしまいますね」
彼女の名前は立川 絆。日本の探索者協会の重鎮で、クラス昇格試験を全てその身一つで管理している。
彼女のスキルは、【幻想の世界】というらしく、俺の背後にいまある白い扉は、それの入り口だ。
幻想の世界の中では死んでも死なない。正確にいえば死んでも外に戻されるだけ。
この特性を活用して、彼女はB、A、Sクラスの昇格試験の際、全力で試験官と受験者が戦えるよう、環境を提供している。
B、A、Sクラスに位置するものは、必ず彼女を知っているのだ。試験の際に、必ず彼女の世界を使うのだから。
そんな彼女がSクラスになれると言ってくれた。これは自信になるだろう。
「私もみいなさんならなれると思いますよ、Sクラス」
「九重さん! そうですかねぇ。でも今回は全然かないませんでしたよ」
扉の中から出て来た春奈ちゃんも俺の事を褒めてくれる。
ありがてぇ。でも実際は春奈ちゃんに一撃も当たってないしなぁ……。まだ遠い気がするわ。
「あはは、まぁ、そんなものだよね~。でも、ボクの見立てだと、Sクラスのレミちゃんより、春奈ちゃんの方が多分強いよ?」
「そんなことはないですよ、立川さん」
なんだって? レミちゃんのというのはおそらく最近Sクラスになった結城レミという人の事だろう。
春奈ちゃんがその人より強い、と?
「そうなんですか?」
「まぁボクの見立てだとね?」
立川さんは数多くの試験を見てきてる。その見立てはかなり正確に近いだろう。
「レミさんもそれなりに強いですから、どうなるかは戦ってみないとわかりませんよ」
「まぁ確かにね~。あ、そうそう。みいなちゃん君Bクラス試験は合格だから、今新しい探索者証作ってるよ。少し待っててね」
話がひと段落ついたところで、立川さんが別の話を切り出した。
なんでもないことみたいに合格だっていうじゃん。前もこんな感じだったっけ?
前はBクラスになったことがうれしすぎて覚えてないぜ。
「ありがとうございます」
「おめでとうございます、みいなさん」
推しに褒められた!!
「ところで、Bクラスになったことは配信で発表とかするの? ボク少し楽しみだな~」
「え゛」
なんで配信の話!? まさか……!?
「いやーボク、みいなちゃんのファンだからさ~。コメントとかはしてないけどめっちゃ配信見てるよ~」
「あ、ありがとうございます?」
は、恥ずかしいななんか。
「もちろん春奈ちゃんもね!」
「ありがとうございます」
春奈ちゃんはやっぱり慣れてるなぁ。尊敬。
すると、俺達3人が今いる部屋の扉がノックされた。立川さんが出ると、どうやら俺の新しい探索者証が完成したらしい。
「はい、これが新しい探索者証。これで今日から君もBクラスだ!」
「ありがとうございます」
懐かしいな。前も同じような事を言われた気がしないでもない。
「改めておめでとうございます、みいなさん。あ、もしよろしければですがお祝いということでこのあとスイーツでも食べに行きませんか? もちろん私のおごりです」
「いいんですか!? では行かせていただきます!」
推しとスイーツ食べにいけるぞ~。……前見たいなコーヒーゼリーは大分勘弁してほしいけど。
「新しい門出に乾杯って奴? いいね~! ボクからも応援ってコトで、これ」
「いいんですか?」
立川さんが、春奈ちゃんにスイーツ代? として2万円を渡していた。
「もちろん! ボクからのお祝いだよ~! 次にまた二人と合う時が早く訪れることを願ってるよ! じゃあまたね!」
そういって、立川さんは部屋を出て行ってしまった。
直前、俺はそういえば見てなかったと思い、多少の好奇心から良くないことだとはわかっているが、立川さんに鑑定を使用した。
◆◆◆
名前:立川 絆(繧キ繝」繝ォ繝ュ繝?ヨ繝サ繧「繧コ繧ー繝ゥ繝ウ繝)
性別:女
年齢:?假シ撰シ難シ抵シ托シ
種族:CODE(4)
レベル:?費シ撰シ包シ
攻撃:?假シ暦シ抵シ托シ抵シ
守備:?暦シ假シ呻シ抵シ托シ
魔力:?托シ抵シ呻シ假シ撰シ抵シ
知力:?難シ難シ費シ假シ呻シ抵シ
精神:?厄シ假シ呻シ抵シ托シ
速度:?假シ假シ抵シ托シ抵シ
スキル:【蛻ケ驍」縺ョ蟷サ諠ウ】【豸亥、ア縺ョ蛻サ蜊ー】
◆◆◆
なんだこれは。俺の鑑定で一切の判別ができない……。
あの人、何者なんだ?
本当に、人間、なのか?
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