第18話 告知してないけどコラボ開始ー!!
現在時刻17時。ついに俺と春奈ちゃんとのコラボ配信がスタートする。
「準備はいいですか?」
「ええ、もちろん」
現在はダンジョンの25層。ここから俺達の配信が始まる。
「では始めますよ」
「はい」
俺達はそれぞれの配信開始のボタンを押した。二人の枠で配信が始まる。
:ん?
:ゲリラ配信感謝っす。って春奈ちゃん!?
ミク:¥50000 まさかのゲリラコラボ配信!?
ん? ゲリラ配信? あっ。
告知するの忘れてた……。
「九重さん、告知ってしてました?」
「ちょうど今私も告知というものの存在を思い出しましたよ」
あー春奈ちゃんも忘れてたのね。
:おそらく告知忘れによってゲリラ配信と化したのだろう
:ドジ属性来た?
ミク:¥50000 告知ありなしに関わらず、今はただ、すべての配信に感謝を
告知なしでもミクさんはいるんだね。この大富豪め。
「と、とりあえず配信を進めましょう、みいなさん」
「そ、そうですね。今日は見てわかる通りコラボ配信となります。私達二人で、ダンジョン25層からの攻略をお届けします」
:おお~!!
:マジで推しと推しのコラボで最高
ミク:¥50000 今日も全力で応援するぞ~!
今日はいつにもましてコメントの流れが速いな。上の部分はずっと赤いままなのは変わらないけど。
「ちなみに今回は私、九重 春奈が前衛を担当し」
「この私、長麦 みいなが後衛を担当します」
そういうことで俺達はダンジョンの中を進み始めた。
「早速初めの魔物ですよ」
「では行きますか!」
相も変わらず出て来たのはブラックサーペントだ。あいつなんか多いよな。春奈ちゃんがブラックサーペントの前にでて、注意を引いてくれる。
俺はその間に魔法を構築する。
「『
俺が雷の弓を作り上げると同時に、春奈ちゃんがブラックサーペントの牙を切り飛ばした。え、あれ切れるんだ。
「『
雷の弓に矢が装填されると同時に、俺は春奈ちゃんに声をかける。
「下がってください! 九重さん!」
「はい!」
春奈ちゃんが下がったその瞬間、俺は魔法の矢を解き放つ。
「『
解き放たれた雷の矢は、脳天からブラックサーペントを貫き、黒焦げにした。
もとから黒いけど。
:ブラックサーペントを1人で抑えるのはさすが春奈ちゃんだな
:マジでその弓の魔法えぐいなぁ
:オリジナルなんだっけ? もはやSクラス目指せるのでは?
ミク:¥50000 かっこいいよー!!
普段からコメントが早くてあんまり読めないのに、今日はまた一段と早くて全然読めない。これ、一回コメント拾う、コメントをしっかり読む訓練をした方がいいんじゃないか?
実際事務所所属の人とかはそういうことをしてるとも聞くし。
「お疲れ様です、みいなさん」
「九重さんこそお疲れ様です。さすがでしたよ」
特に剣でブラックサーペントの牙を切り飛ばした辺り?
あれ普通にやってることが異次元すぎる。俺の剣術じゃ普通に不可能。
「ふふ、ありがとうございます。では次の魔物を探しましょうか」
「りょーかいです」
俺が春奈ちゃんを上げると、春奈ちゃんは笑顔になってくれた。うん、推しの笑顔はやはり良い。
:二人とも敬語だけどビジネス感がないというか……なんというか。とてもいいですねこれは
:これが、てぇてぇか
ミク:¥50000 いい雰囲気ってやつ?
なんかてぇてぇにされてる。俺ごときがそんなおこがましい。
さて、続きの魔物でも探すか。続きの魔物を探していると、ごてごてした洞窟の道の先に宝箱があるのが見えた。
「九重さん、宝箱ですよ」
「あ、本当ですね。ミミックじゃないかどうか確認してから開けますか」
春奈ちゃんは足もとの石を宝箱にぶつける。石がぶつかった宝箱はなんの反応も示さなかった。
「宝箱でいいですね」
「開けますか~!」
:宝箱タイムきちゃ!
:なにかいいもの出るといいな
ミク:¥50000 わくわく
春奈ちゃんは配信の演出としてタメを作り、その後勢いよく宝箱を開けた。
中に入っていたのは……。
「腕輪、ですかね?」
「腕輪ですね」
金を基調に作られたきらびやかな感じの腕輪だった。鑑定してみるか。
【ジェニトの腕輪】
・魔力のステータス値を+1000する。
シンプルながらに強力な能力だな。
「鑑定にかけますか」
「いや、私鑑定使えるので大丈夫ですよ」
:え?
:ん?
ミク:¥50000 みいなちゃん、これだけ戦えて鑑定もできるとかすごすぎ?
まぁスキル二つも持ってるのなんて俺ぐらいだし?
「曰く、この腕輪の効果は魔力を大幅に上昇させるというものですね」
「魔力、ですか。それならばみいなさんが持っているのがいいでしょうね」
確かに春奈ちゃんは魔力のステータスはそんなにいらないだろうしな。
「でも、いいんですか? 売ればそこそこになりますよ多分」
「お金には困ってませんから」
確かにAクラスともなればそうか。
「それじゃあ私が使わせていただきますね」
「ええ。それじゃあ手、出してもらってもいいですか?」
俺は少し言い回しに疑問を覚えながらも春奈ちゃんに手を差し出した。
すると、春奈ちゃんはその手をとって、片膝をついた。
「これが、お嬢様への贈り物です」
そして俺の腕に腕輪をはめた。
いや、アニメかなんかですか!?
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