第12話 伸びるチャンネル
その後、魔物を一体討伐するまで、スパチャ爆撃が止まることはなかった。本当に申し訳ない。
そしていつの間にかチャンネル登録者数が20万を突破していた。
「チャンネル登録者数20万人突破ありがとうございます。ああ、もうスパチャは投げないように。いいですね?」
:おめでとう!!
:配信三回だけで20万超えたかぁ
九重 春奈:もうすぐ私に追いつくんじゃないですか?
ミク:¥50000 おめでとーう!
春奈ちゃんの登録者数は48万。もしかすると本当にもうすぐ追いつくかもしれないな。でも、まだ先は長いと思う。
後、ミクさん、君は俺の言葉を聞いていたのだろうか。
「春奈さん、私なんてまだまだですから……ところでミクさん? 私のお話し聞いてました?」
:さすがみいなちゃん謙虚
九重 春奈:そんなことはないですよ。個人的にはもう同じくらいだと思ってます
ミク:¥50000 聞いてたに決まってるじゃないですかやだな~
春奈ちゃん……君はとても謙虚なんだな……。後ミクさん。君は人の話を聞いていたとは思えん。嘘おっしゃい!!
「全く、どこからそんなお金が……魔物ですね」
ミクさんのお金の出どころについて疑問を呈そうとしたところ、魔物の気配を感じた。
洞窟の前の方から巨大な蛇がこちらに向かって這ってきていた。ブラックサーペント。Aクラス下位に当たる魔物だ。
:アイツ、Aクラスの魔物じゃね?
:頑張れみいなちゃん!!
九重 春奈:ブラックサーペントですか。長麦さんならやれます。ファイトです!
ミク:¥50000 頑張れー!!
あいつには熱を感知する能力がある。それのおかげか、少し遠い位置からすでに俺の存在に気づかれたらしい。
こちらにブラックサーペントが高速で向かってくる。『弓』系の魔法は間に合わないな。
仕方ないな。俺は血液操作で剣を形成し、全長20mはありそうな蛇の前に立ちはだかる。
俺とブラックサーペントとの距離が近づいてきたその時、ブラックサーペントは口を開いてこちらにかみつこうとしてきた。
「大きい口だなぁ」
まぁ、そんなかみつき攻撃には当然当たらないので、横に飛んで回避する。
「一撃もらっておいて」
よけると同時に、俺はブラックサーペントの目に向かって血の剣を投げつけた。
見事、それは目に命中し、ブラックサーペントの左目をつぶすことに成功した。
「キシャァァァァ!!」
目に剣を刺されたブラックサーペントはけたたましい叫び声をあげてのたうちまわった。体がでかいからか、その動きの一つ一つが当たれば致命傷になりうるものとなる。
俺は後方に飛んでブラックサーペントから距離を取った。
「全く、うるさいなぁ」
俺は手のひらを噛んで血を出すと、魔力で血を増幅して、大量に血の剣を生成した。生成された血の剣は俺の背後を舞う。
一回やってみたかったんだよな、この攻撃方法。
「いけ!」
俺の背後を飛んでいた血の剣たちが、ブラックサーペントの方を向く。そして、一斉にブラックサーペントの体に向かって飛んでいった。
「ギョアァァァ!!」
血の剣がブラックサーペントの体中に突き刺さっていく。数十本はくだらないそれは、深く、深く刺さっていった。
「散!」
俺の号令によってブラックサーペントに突き刺さっていた血の剣は分解、そして小さな血の弾へと変貌し、はじけ飛んだ。
ブラックサーペントの体中を血の弾が貫いたその時、ブラックサーペントは絶命し、魔石を残して消滅した。
「討伐完了です」
:えぐい
:マジで強いな
九重 春奈:さすがです
ミク:¥50000 かっこいいよー!!
おなじみの二人のコメントは見逃さないとして、他のコメントが本当に流れるのが早くて見えない。同時接続54000でこれなんだから他の配信者さんってすごいなぁ。
……って5万4000!? 多すぎじゃない!?
後、ミクさんは相変わらずお金はどこから(以下略)
「皆さん私の配信を見に来てくださって大変ありがとうございます。ついに同時接続が5万人を越えました」
:5万人かぁ~
:もうダンジョン配信者の中では有名な方になってきたね
九重 春奈:私の最高同時接続数はもう超えられてるんですよね
ミク:¥50000 最高の配信をありがとう!
春奈ちゃんの同時接続数の記録を超えただって!? ……実感わかねぇ。
後ミクさん? 俺もう何もいわないよ?
「チャンネル登録者数も25万を超えて……皆さんの支援は本当にありがたいです。そういえば近々10万人記念配信をやるのでその時は皆さん、是非見にきてくださいね!」
姉貴が10万人記念配信をやることを発表しろと言っていたのをすっかり忘れていた。収益化の件でいきなりインパクトあることしてきた人がいるし、仕方ないよね。
:絶対見に行きます!
:もうすでに20万超えてるけど10万記念配信なのねw
九重 春奈:おめでたいですね
ミク:¥50000 絶対見に行くぞー!!
だーもう!! ミクさん!? 君のせいで忘れてたんだよ!! そろそろ自重してくれ!!
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