第9話 ボス戦とか? 一瞬じゃーん

 ただの氷魔法のつもりだったが……なんかおかしかっただろうか。


「なんか、まずかったですか?」


 とりあえず視聴者に聞いてみる。


:今の魔法、Sクラスの氷魔法使いの十八番の魔法なんだが

:習得難度馬鹿高い人間用の魔法かわからない奴

:相沢泣くぞ


 ……氷魔法の参考動画調べたら出て来た魔法だったから普通に皆使えるものだと思ってた。


 Sクラスの十八番ということなら使うのをやめよう。なんか、怒られたりとかしたくないし。


「えーっと、全然知りませんでした。と、とりあえず相沢さん? にはこのことは内緒でお願いしますね?」


 俺が口に人差し指に当ててそういうと、コメントが一瞬止まった。


 あれ?


 少し待つと、一気にコメントが流れ出した。


:血吐きかけた

:やばい、やばすぎる

九重 春奈:私こんな事できないですよ……


 ……んん? なんかまずったか?


「ま、まぁ気を取り直して攻略を続けましょう!」


 とりあえず攻略を進めるために俺はダンジョンの先に進んだ。


 すると、案外すぐに5層へと降りる階段が見つかった。


:お?

:次、5層だよな

:ボス戦か!


 視聴者たちのいう通り、次はボス戦になる。ダンジョンでは基本5の倍数の階層ごとにボスが出現するからな。


 次の5層で出現するボスは武器持ちゴブリンのパーティー。


 まさかの最初のボスから複数戦闘である。なんてことだ。


 まぁ余裕なんだけどね。


「それではボス戦のために階段を降りるとしましょうか」


 そう宣言し、俺は階段を降りていく。


:気を付けてね

:みいなちゃんなら余裕!

九重 春奈:頑張ってください


 推しや視聴者の応援を受け止め、俺はボスの間の中に入っていく。中には5体のバランスの取れた編成の武器持ちゴブリンが待機していた。


 剣、槍、盾、弓、杖だ。マジで模範的なパーティーすぎるだろ。なんだ?


 まぁ、関係ないけど。


「行きます」


 俺はカメラにそう宣言したあと、全速力で駆けゴブリン達を斬りに向かった。


 実はゴブリンジェネラルを配信前に狩ったことによって俺のレベルはかなり上がっている。


 今のステータスは以下の通りだ。


◆◆◆

名前:長麦 みいな

性別:女

年齢:13

種族:吸血姫


レベル:28

攻撃:4604

守備:1225

魔力:8165

知力:7998

精神:1289

速度:4575


スキル:【鑑定眼】【種族特性:吸血姫】

◆◆◆


 平均ステータス的にはAクラスの仲間入りである。そんな俺の全力の速度によってゴブリン達は反応すらできずに首をはねられ、絶命した。


「どうでしょうか! 少し本気を出してみました!」


:え?

:あれ、配信画面飛んだかな?

九重 春奈:これは……カメラを通して一般の方が見るのは難しいのでは? しかし早いですね、長麦さん


 推しに褒めてもらえた……! 頑張ったかいがあるというもの。


「というわけで、5層の攻略は終了になります」


:待って待って!? もうボス死んだの!?

:みいなちゃんの後ろに消えゆくゴブリン達の姿が……

:あまりにも早すぎる


 まぁ、俺自身予想以上に早くなっていた感じはある。明らかにこの辺の魔物が適性帯ではない。


 そういうわけで早く階層の攻略を進めて行こう。


「次は6層ですね。頑張って攻略していきましょう」


 そういうとコメントの流れが加速した。


:いや、頑張るも何もこの分なら6層の魔物は虐殺されるだけだって

:うん、俺達に気を使わなくていいから階層飛ばしちゃお、みいなちゃん

:20層以降が適性帯だよみいなちゃんは……


 なんと視聴者たちは俺がこの辺りの攻略をすることが不服らしい。仕方ない、次回はもっと先からスタートしようかな。

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