第6話 なんかめっちゃ伸びてるぅー!?

 チャンネル登録者数を見てみるとなんとすでに1万人に及びそうであった。うん、何かがおかしい。初配信からこんなに伸びるわけないだろ。ちょっと皆に聞いてみるか。


「改めまして、長麦みいなです。よろしくお願いします。それで皆さんはどこから見に来てくださったんですか?」


 俺の質問に、リスナーたちはすぐに答えてくれた。


コメント

:SNSのトレンドに入ってますよ!!

:掲示板でめっちゃ可愛くて強い子が配信始めたって張られてたので見に来ました

:ツイ……じゃなかった。γのトレンドから見に来ました


 γとはおそらく世界最大のSNSサービスの事である。そこのトレンドに俺が入ってるだって? どうしてまたそんなことに……。


「トレンドから来てくださった方が多いんですね。どういった感じで私がトレンド入りしたんですか?」


 ネガティブな感じじゃないといいんだけどな。


コメント

:『#超美少女の初配信』ってのが入ってた

:聞くに違わぬ美貌。来てよかった


 なんかすごい、過大評価されている気がしないでもない。まぁトレンド入りしたのはうれしいけどさ。


「なんというか、褒められると反応に困っちゃいますね……。えっと、皆さんありがとうございます?」


コメント

:おーい切り抜き班? 今のところ切り抜き頼むぞ

:カワイイ

:カワイイ

:カワイイみいなちゃん


 カワイイが高速で流れていく。そ、そんなか?


「え、ええと。き、気を取り直して三層に向かいたいと思います!」


 とりあえず進めよう。魔法を使ってウルフと戦ってみたい。俺は三層への階段を降りていく。


コメント

:三層から結構難易度上がるから気を付けて

:ウルフだろ? 雷魔法は発生早いから全然いけるな

:さっきの戦闘見る限り肉弾戦でも割と余裕ありそうだけどな


 コメントを定期的に確認しながら進んで入ると、ついにウルフと遭遇した。


「ウルフが来ました。ウルフは素早い魔物なので、発生が早い魔法で先に仕留めてしまいたいと思います」


 発生が一番早い魔法はもちろん光魔法なのだが、俺の光魔法は威力がお粗末すぎるので、次に発生が早い雷魔法……はもう使ったからその次に早い風魔法を使うことにしよう。


「『風球ウィンドボール』」


 風の刃を固めたような球体がウルフに向かって高速で飛んでいくと、その毛皮をズタズタに切り裂いてしまった。


 ウルフはそのまま塵となって消える。


コメント

:!?

:風魔法!?

:2属性持ち!?

:なんかよくわからない血を操る能力もあるのに魔法も2種類以上使えるのか!?


 ウルフが消滅したのを見届け、コメント欄を確認すると、案の定コメントの流れが加速していた。


「あ、言ってませんでしたね。私は光魔法以外の7属性の魔法を全て扱えますよ」


 とりあえず新しい属性を出すたびに騒がれても面倒だし、今のうちに言っておくか。光魔法は絶対に使わないし使い物にならないから言わなくていいや。


コメント

:!?!?!?!?

:おい、瀬戸奏多のアイデンティティなくなるぞw

:期待の大型新人じゃねーか!?


 瀬戸奏多さんは高校2年にしてSクラス探索者のすごい奴だ。火、水、風、土の四属性の魔法を使えて、剣の腕も圧倒的。


 あ、ここで言っておくけどSクラス探索者26人のうち4人は高校生である。最近の若い探索者は強いねぇ……。


 まぁそんなことは置いておいて。


「魔法にはちょっとだけ自信があります。でもまだまだ瀬戸さんには及びませんし、これからも頑張っていきたいと思いますよ。というわけでウルフ狩りの続きと行きましょう!」


コメント

:謙虚なみいなちゃん

:頑張れ!!

:応援してます!!


 リスナーの声援をありがたく受け取り、ウルフ狩りを続ける。ウルフを十数体買ったところで、配信時間が2時間を超えたので、今日はここで終了することにした。


「もう配信を始めて2時間が経ちましたね! 皆様のおかげで楽しい配信ができました! また次回もよろしくお願いしますね! それでは!」


コメント

:おつかれさまでしたー

:おつー


「ふぅ~……緊張した~」


 配信を終了した俺は一息つくと、そんな独り言をこぼした。そして、SNSをもう一度確認しようとして気付く。配信、切れてないし。


コメント

:緊張したかぁw

:配信切れてないよみいなちゃんw

:カワイイw


「だぁ~!? これで本当に終わりです! お疲れ様でした!!」


 恥ずかしかったので勢いで締めくくった。よし、今度こそこれで終わりだ。


 まさかここまで伸びるとは思わなんだ。帰ったら姉貴に報告しないといけないな。


 あとは……エゴサーチ? ってやつだな。今の俺の評価がネット上でどうなってるのか、少し確認したい。


 というわけで帰路につきます。三層をそこそこ進んだから戻るのに少し距離があった。


 途中でウルフが何度か出て来たが、それらは全て雷魔法で瞬殺した。


 二層でもゴブリンの群れに何度か遭遇したが、前と同じように血の弾丸で薙ぎ払った。


 そして一層に着て思い立った。レベル、上がってるんじゃね?


 というわけで詳細鑑定を自分にかけてみました。


◆◆◆

名前:長麦 みいな

性別:女

年齢:13

種族:吸血姫


レベル:8

攻撃:2604

守備:1225

魔力:4165

知力:3998

精神:1289

速度:2575


スキル:【鑑定眼】【種族特性:吸血姫】

◆◆◆


 なんか攻撃面がめっちゃ強くなってる!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る