第29話

『ちょっと!なんで朝帰りなわけ?』


はぁー。コレ何回繰り返すんだろう。いや、私も悪いとは思ってるんだけどね、無限ループだよ。

とにかく今は一刻も早く打開策を見つけなければ。さもなくば、またあの日の二の舞になってしまう。


『.........いや、えっとね、なんていうか.....』

『あれだよ!あれ、命令だよ!』

『ふーん』


やばい。うまい感じの嘘がつけなかった。

どーしよ。まだ疑われてるかな、もう一押しだと思うんだけどなぁ。


『ほら、茜ちゃんは一人暮らしだしね。寂しくなる事だってあるよ。』

『......確かに』


よし!乗り切った。今日はこれで榊の怒りは治ったから平和に生きられる。


『じゃあ、私も寂しいから今日は一緒に寝て』

『どうせ、同じベットで寝たんでしょ』


その瞬間、榊の目からハイライトが消えた。そして一瞬にして空気が凍った。私も背筋がシャンとなった。これは、たぶん有無を言わされずに決定事項だろう。ここで逆らったらたぶん私の命はもう無い。


『わ、わかったよ』

『うん♪』


張り詰めるような空気は消え去り、この世界に平和が戻った。まじて、心臓を鷲掴みにされる感覚があって怖かった。


なんやかんやあってその日の夜


『どっちの部屋で寝る?』

『んーと、沙矢乃の部屋で寝る』

『ん。わかった』


私は、榊を自分のベットの奥側に入れてやり、榊の方に背中を向けて、寝ようとした。


『ねぇ、沙矢乃まだ起きてる』

『................』


私は、あえて寝ているフリをした。榊が私に何をするのか気になったからだ。


『起きないなら、キスするよ』

『.................』

『本当に寝てるの?』

『................』

『キス、するね』


それから、榊はゆっくりゆっくりと顔を近づけてきて........


『.........ぐへ.....痛い!』


流石にまずいと思ったので、デコピンで止めた。ほとんど唇が重なるか、重ならないかの瀬戸際で止めた。危なかった、いろいろと。


『なんで止めるの?』

『いや、普通は止めるだろうが』

『なんで寝てる人を襲おうとするんだよ』

『だってキスしたかったもん』

『はぁぁぁぁー』


これじゃあ私の貞操が危ないよ。もう、一緒に寝るのやめようかな。私は、心配になりながらも榊を寝かしつけた。


いい加減このループから抜け出すために、何か考えないとなぁ、明日どこかぶらぶらしながら考えるか。と睡魔のせいでまともな判断が出来ず結局何も考えずに私も寝た。

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