第27話
『お邪魔します。』
茜ちゃんの家はなんか高そうなマンションだった。セキュリティも頑丈そうでなんかすごかった。
何故そんな家に住んでいるのか、聞くと親が過保護で1人暮らしをするなら安全な所にしなさいって言われ、ここになったらしい。
『お茶持って行きますんで、私の部屋で待っててくださいっす』
茜ちゃんの部屋に入ると、そこには可愛らしいぬいぐるみの国があった。いかにも女の子らしい部屋だった。
椅子が1つしか無かったのでとりあえず、ベットの側面を背もたれにして床に座る事にした。
『お待たせしました。って沙矢乃さん、別にベットか椅子に座ってくれてよかったのにっす』
『いや、床でいいよ』
そして、しばらくは茜ちゃんと楽しく雑談していた。でも、会話が途切れた途端に、
『沙矢乃さん、茜今すごくドキドキしてます』
『沙矢乃さんは、茜の部屋にいてドキドキしますか?』
んー、ドキドキするか、しないかと言われたらするけどあんまり人の部屋でドキドキするって無いよねー。どう答えるべきか。
『ソウダネドキドキスルヨ』
いや、ギリ棒読みにはならなかったけど、誤魔化せたか?
『嘘、ですよね。』
その瞬間視界が歪み、天井が見える。今私どうなってる?背中はベットについているから痛くは無いけど...何故か茜ちゃんが私の腰の辺りに馬乗りになっている。
『沙矢乃さんって、どうしたら茜の事意識してくれるんですか?』
『えっとね、社会人が高校生と付き合うと色々ダメって言うか、なんて言うか』
苦しいけど、今はこれで乗り切るしかない。
だけど、本当に高校生に手を出したら捕まるから私。
思考という海に溺れていたら、
茜ちゃんがさらに覆いかぶさり、唇を塞いできた。
『ふっ......んっ』
何度も角度を変えて啄むようにキスされる。榊の時と一緒だ。頭が真っ白になる。止めないと。
『や、...やめっ....あ、茜ちゃ...んっ』
喋ろうとしたら口の中に舌が入ってきて、口内を蹂躙される。それは歯茎を丁寧に舐め回して、舌を捕まえて絡められる。
次第に力が入らなくなり、されるがままになってしまう。何も考えずにただ気持ちいいだけの感覚に溺れてしまいそうだ。
なんとか理性を保ち、茜ちゃんを引き剥がすことに成功した。
『はぁ、はぁ......はーっ』
『茜ちゃん......。』
『すいません、失望したっすよね』
『そんな事ないよ』
茜ちゃんはやってしまったと、言わんばかりにしゅんとなっていた。
反省してるなら、いっか。と思い抱き寄せ頭を撫でる。
『全然気にしてないよ。大丈夫だからね』
鼻水を啜りながら泣く様子は、年相応の少女に見えた。
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