第16話

今日は、寧々と映画館デート?の日だ。

なんか寧々が、映画館を貸し切って映画を見ようと言ってきたのだ。

........映画館貸し切るってなんだろう。


だいぶ楽しみだった私は、つい30分前に集合場所へ来てしまった。そのせいで少し変な男に絡まれた。


『ねー、今1人?』

『友達と待ち合わせしてて....』

『奇遇だね、俺も友達と待ち合わせしてるんだー。』

『お友達が来るまでちょっとお茶しない?』

『無理です.....』


なんだこの男。ナンパか?なんで私に話しかけるんだよ。他にいるだろ。


『じゃあ、連絡先だけね。』

『.....はぁ、それだけなら......』


そう言いつつスマホを出そうとしたら.....


『ごめんなさい、私の彼女に何か用?』

『チッ、恋人持ちかよ』


寧々が来てくれたおかげで、なんとか男を追い払うことができた。


『沙矢乃、ちゃんと断りなさいよ!』

『ごめん、初めてナンパされたからわかんなかったや』

『.......やっぱりもう少し早く来た方がよかった....いや、いっそ迎えに行くべき?...』

『寧々、どうかした?』

『いえ、なんでも無いわ。早く行きましょ』


そう言いつつ私の腕に、自然と腕を絡ませてくる寧々。..いや、当たってるから!

何がとは言わないけど。


なんとか、腕に当たる胸の感触に耐えて映画館に無事到着。


『今日は、なんの映画を見るんだっけ?』

『今流行りの恋愛ものよ』


へぇー、まったく知らなかったや。流行りとか興味無いしね。

でも、寧々は違ったらしく、とてもウキウキしていた。......可愛いかよ。


映画館のシアタールームに入ると、そこは2人だけの空間で、なんかカップルシートみたいなのが用意されていた。


まぁ、多少の疑問はあるけれど、いいかって思って座る。その上から、寧々の小ぶりなお尻が乗ってきた。


『...あれ?隣じゃ無いの?』

『別にいいでしょ、重く無いんだから』


確かに、それもそうか。なんか、納得してしまったが今日くらいはいいでしょ。


映画の内容は、主人公が6年間片想いし続けた相手に告白する。といういかにもありきたりな物語だったが、寧々はとても楽しそうに見ていた。

キスシーンになったときは、顔を真っ赤にしながら見ていた。ふいに、目があってついキスしそうになってしまった。

.......雰囲気って怖いね。


何事もなく映画は終わり、2人で帰る途中に茜ちゃんと出会った。


『沙矢乃さん、こんにちわっす。』

『こんにちは、茜ちゃん』

『......沙矢乃さん、隣にいる方は沙矢乃さんの彼女さんっすか?』

『ううん、ちが.......『そうよ』


え??寧々?


その言葉をきっかけに茜ちゃんと寧々の間に、火花がバチバチと飛び散っていた。

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