第11話

その後、なんとか家に帰った私は完全に放心状態だった。あまりにも様子がおかしかったのか榊に何があったのか聞かれた。そこでやっと意識を取り戻した私は榊に、どう答えようか迷っていた。


『別になんでもないよ』

『.......嘘、だってそんなに焦ってる顔見た事ないもん』

『まじ?』

『まじ』


どうしよう、顔が取り繕えない。いつもならヘラヘラしていられるのに、こういう時だけ.......ダメだ意識しないと顔が....


思い出すだけで、顔が赤くなる。おかしいなー。私は赤面症じゃなかったんだけどな。


『絶対なんかあったじゃん、教えてよ』

『なんにも無いって』

『.......私にも言えない事なの?』

『言ってもいいけどちょっと怖いかな』

『大丈夫、何があっても絶対怒らないから、約束する。』


そこまで言うんだったら、いいかな?

そして私は今日の出来事をおおまかに榊に話した。

誰かに話してちょっとスッキリして、話を聞いてくれてありがとう。と言おうとしたら、いきなりソファーに押し倒された。


榊の顔は、照明の逆光でよく見えないがたぶんすごく怒ってる。

怒らないって約束したのに。

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