第5話 【榊視点】

それから、私とあの人の再会は早かった。なんと同じ講義を取っていたのである。今日ほど大学に感謝したことはないだろう。私は思い切ってあの人に話しかけた。


『あの...』

『何?あ、道で転んでた人?』

『はい。そうです、あの時は助けていただいてありがとうございます。』

『お礼がしたいので名前を聞いても?』

『お礼はいいよ、私は丸川沙矢乃、よろしくね』

『あなたの名前は?』

『.................寺島榊です』

『そっか、よろしく』


彼女の名前は沙矢乃さんって言うのか。もっと仲良くなれたらいいなぁ。でも、そんな事は無理に決まっている。彼女と私とでは住む世界が違うのだ。私は教室の隅っこにいるような隠キャで、沙矢乃はクラスの真ん中にいるような存在だからだ。これじゃあ全然釣り合わない。


その日から、私は人生で初めて自分磨きというものをした。長かった黒髪をボブくらいまで切ってもらって、髪を金髪にした。メガネをやめてコンタクトをつけた。メイクをして、オシャレな服を着て。そして、見た目だけは陽キャっぽくなった。あとは、話し方とかだけど、

どうしよう......。

そして思いついたのが、飲み会に積極的に参加してたくさん人としゃべる事だった。


そのおかげで、私は自他ともに認める陽キャとなった。

そこから少しずつ、沙矢乃と仲良くなっていった。

ずっと沙矢乃と一緒に居てわかったことなのだが、どうやら私は独占欲が強いらしい

沙矢乃が自分以外の人と喋っていると胸がザワザワして吐き気がする。沙矢乃を私のものにしたい。ずっと一緒に居てほしい。



その想いから告白することを決意した。





そしてある日の飲み会で、勢い余って沙矢乃に告白してしまった...


『一目惚れでした。付き合ってください』

『えっと...ゴメン無理』

『恋愛とか興味ないんだよね〜』


こうして私の初恋は終わった...end


うん.......

そんなはずもなく恋人にはなれなかったけど、せめて一緒にいたかった私は、諦めずにせめて一緒に住もうと言った。


『じゃあ大学卒業したらルームシェアして』

『それくらいならいいよ』

『そっか、やっぱダメだよね.....え!?いいの?』

『別にいいけど』


これが私たちが一緒に住むきっかけとなった。


普通告白してきた人と一つ屋根の下って危なくない??


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