第3話

しばらくして榊が用事で家の外に出かけて行った後、榊の彼女さんの寧々さんが戻ってきた。


『ごめんなさいね。沙矢乃さん』

『いえいえ、お気になさらず』


どうやら寧々さんは家に忘れ物をしたらしい。榊がいないタイミングで来るなんて珍しい。......あ、別れたからか。


『あ、あった。』

『ありがとう。探すの手伝ってもらっちゃって』

『どういたしまして』

『沙矢乃さんは優しいのね』

『そんなこと無いですよ。アハハ』


そう言いつつ玄関に寧々さんを送りに行こうとして、突然腕を掴まれた。


『待って、連絡先教えてくれない?』

『..........ほえ?』


まって今、一瞬意味がわからなかったんだけど。れんらくさき?レンラクサキ?.......え?なんで?榊と一緒に住んでるから?

榊の彼女だと疑われたのか?いやいやいや、ありえない。天地がひっくり返っても無い。.....あ、そうか寧々さんはきっと私のことを榊の浮気相手だと疑っているのか


『別に私、榊と付き合ってませんよ』

『.....何の話?』


...........え?待って、ますますわからない、何故寧々さんは私と連絡先を交換したがるんだろうか?


『なんでですか?』

『単純に沙矢乃さんみたいな人がなんであんなやつと彼女でも無いのに一緒にいるのか気になっただけよ』

『?』


まぁ、いいか。別に害があるわけじゃ無いし。そう思いつつ、スマホのバーコードをかざし連絡先を交換した。


『ふふ、ありがとね♡』


このとき、私は知るよしもなかった。実は寧々さんは榊を使って私に近づいてきたことに。


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