夜光







     家が建っている、朧げな光を放って。


     その家には君が住んでいる。


     私は君のことを知らず、君も私のことを知らない。


     どんなふうに生まれて、どんなふうに生きているのか。


     君はどんな人なんだろう。


     君の家族はどんなだろう。


     そんな事を思っても、私は君の家を通り過ぎる。


     君の家の形もすぐに忘れる。


     思い出せる君はいない。


     私は君を知らないまま生きていく。


     君も私を知らないまま。


     同じ世界にいるけれど、君と私は違う世界で生きていく。



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