第13話  王都

王都の城門を見つめるリアム。


「で、でけぇ~~~」


セイラは笑いながら伝える。

「この大陸では王都とダンジョン都市が一、二を争う大きな街ですからね。それはそうと王都に入ったら言葉遣いに気をつけなさい」


「はぁ~い。」


「あと、冒険者ギルドでクルミちゃんを従魔登録しないとね」


「えっ、冒険者ギルドに行けるのですか?」


「ええ、お披露目会までには行っておかないとね」


すでにセイラの言葉は聞こえておらず、リアムは冒険者ギルドのことで頭がいっぱいであった。


そして、宿についた時に疑問に思ったことをセイラに訪ねた。


「王都に屋敷があるのですよね?何故、宿屋なのですか?」


「居心地が悪いからよ。どの道お披露目会で父親と合う嵌めになるから気にしなくてもいいわ。もし嫌なことを言われても我慢して頂戴ね」


リアムは何となく察した。

「分かったよ」


「リアムは本当に手のかからない子でお母さん助かるわ。お母さんのせいで苦労ばかりかけてごめんなさいね」


セイラはリアムの目を真剣に見ながら頭を下げた。


「お母様辞めて下さい。僕は今の生活でも満足しています。将来楽させてあげますので楽しみに待ってて下さいね」


セイラは目をウルウルとさせながらリアムを抱きしめた。


そんな会話の次の日には憧れの冒険者ギルドに行ったのだが、昼間とあってちらほらとしか冒険者がいなくて少し残念だった。

しかし、王都のギルドと言うことで要塞見たいに大きく迫力のある外観は圧巻であった。


無事従魔登録を終えたのだが、クルミの種族がギルドで把握されていないためひと悶着あったのはご愛好。


そして、ついにお披露目会の日がやってきた。


貴族と言うことで迎えの馬車から王城に向かうのだが、王城に着くと色とりどりの豪華な馬車がずらりと並びリアムはあっけにとられていた。

さらには王城に入ると通路は重厚感があるものの普通だったのだが、パーティー会場に着くと煌びやかな装飾に豪華な料理がずらりと並び、ただただ驚くばかりである。


「この広さの会場に、こんなにも多くの貴族の子供がいると流石に見つけることは難しそうだな」


「誰かお探しですか?」


「まあ、昔の知り合いかな」


「そうですか。リアムンド様が誰かと会話する際にはすこし離れた所から警護しておきますので」


「タイガも気楽にしてて大丈夫だよ」


「そう言う訳にもいけません。リアムンド様に何かあったら…」


この後タイガの話が長そうだったので軽く流しながらもう一人の転生者のことを考えていたら一人の男性と子供が近づいてきた。


なんだこのブタは?とリアムが考えていると…。

「セイラ、相変わらず美しいな。今日の夜は空けておきなさい」


「子供の前ですのでやめて下さい。むしろリアムにおめでとうの言葉すらないのですか?」


セイラはキッと睨んだあと隣りの子供にきちんとお祝いの言葉を伝えていた。


「そんなことはどうでもいい。どの道継承権すらもたない子だ、面倒見てるだけでも感謝するんだな。あ~、リアムンド餞別にこれをやろう」


そう言うとブタは金貨が入った袋をリアムに渡したのだ。


「四大学院に入学する際にこれで奴隷でも買って従者にするのだな。流石に獣人族の執事だと名折れするだろう。くれぐれも私の名を下げることだけはするなよ」


リアムはこの男が父親なのを簡易鑑定で確認している。


タイガのことではらわたが煮えくりかえるぐらいキレそうになったが、何とか落ち着き笑顔で答えた。

「父様、有り難うございます。名に恥じぬ様、四大学院に合格してみせます」


「ふん、分かれば良い。クレア行くぞ」


そして父親がどっかに行った後、セイラは謝ってきた。


「リアムごめんなさいね。私の立場が弱いばっかしに…。」


「気にしないで下さい。むしろお金が貰えただけラッキーでした。それにしても、あのブタが父様だとはビックリです」


「昔はもうすこし痩せていた気が…。まあ、金の力で好き放題しているだけのクズよ。リアムはあんな風にだけはならないでね」


「もちろんです」


そんな話をしていると一斉に音楽がなり響きついにお披露目会が開始された。

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