吉野弘詩集―43日目

北川さんの詩集のあとに吉野さんの詩集を読んだら、あまりにもわかりよくって、「これが同じ現代詩か!」という感じでした。なんていうものはないんですけど。吉野さんの詩を読んでいると、フレーズによってはすごく共感するものがあったりして、ひとが書いたものを読んで面白いと思うことの一つのありかたがそこにあらわれているって言っていいんだと思うんだけど、なんというのか、こんなこと言っていいのかちょっと抵抗があるんですけど、「なんか物足りない……」という感じが、不思議としてしまうのでした。わたしはもちろん、詩のよしあしが判断できるような教養もセンスもないので、まったく私的な好みということでしかないんですけど、吉野さんの詩のフレーズはときどき、「わたしはこういう風には書きたくないな」って思ってしまうところがあって、これはこれでかなり珍しいことなので、ちょっと不思議な感覚でした。これって、なんなんだろう?

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