閑話 それぞれのGW【月ヶ瀬編】

 そういえば、私にはこれといった趣味がない──と布団に寝っ転がっている時にふと思った。

 この一ヶ月を振り返ってみるとみんな何かしら自分の趣味のようなものを持っていた。


 例えば食田くんは食べるのが大好きだし、志賀くんはアニメとか漫画とかラノベ? とかいろいろ好きだし、青島くんは本を読むのが好き。


 そんな風にみんなそれぞれ好き! と言えるものがあるけど私にはそれがない。人助けはもちろん好きだけど、趣味かと言われればなんか違う気がする。


 実際、いつだったかは忘れたけどそう思わされた時があったことを覚えている。自己紹介で好きなことは何かと聞かれて私が「人助け!」と答えたらなんだか気まずい空気になったしまった。


 だから私は決心した!


「このGWで、私も趣味をつくるんだ!」


 そんな目標を立てて始まったゴールデンウィーク!

 学校は嫌いではないけれど、自由ってのもたまにはいいよね! まぁ、一人なのは寂しいけど……。


 それはともかく、まずは大食いに挑戦することにした。これは言わずもがな食田くんの影響。

 私は早速、大食いのための食べ物を買うために近くのスーパーに向かった。


 ──ってか、大食いって何を食べればいいんだろう。


 まぁいいや。スーパー歩き回りながら美味しそうなものを探してみよう。

 きょろきょろと辺りを見渡しながら大食いの獲物を探していると、ふと見覚えのある黄色いパッケージの商品が目に入った。


 ──あ、これ美味しいやつ!


 たしかコンビニで目を瞑って商品を選んだ時に買って気に入ったやつだ。ポテチのハッピーバター味! これに決めた!

 私は持っていたカゴにハッピーバター味のポテチを五袋入れてレジに向かった。


 店員さんがピッピっとやってる時も、帰ってる時もこんなに食べれるなんて夢見たい! とワクワクが止まらなかった。たしかにこれはハッピーになれる!

 家に着いて私は早速ポテチを机に並べて、それから一袋を開封してお皿に全部出した。


「いっただきまーす!」


 まずは一つ手に取って食べてみる。


 ──うん、やっぱりこれ美味しい!


 あまりに美味しすぎて次から次へと手が止まらない。あっという間に一袋分を完食した。


 ──私ってもしかして大食いの才能ある感じ?!


 調子に乗った私はそのままの勢いで二袋目を開封した。大食い挑戦第二ラウンド開始!

 二袋目になってもやっぱり美味しかったが、ふと食べる速度が低下していることに気づいた。


 ──あれ、なんかちょっとキツくなってきた?


 一度そう思ってしまうともうダメで、私はなんと二袋目の途中でギブアップしてしまった。

 どうやら私は大食いには向いていなかったらしい。うーん、いい趣味になるかと思ったのに……。


 やっぱり食田くんはすごいなぁ。

 次は志賀くんの好きなアニメとかラノベとか試してみようかな!

 そんなことを思いながら、私は布団に寝っ転がった。





 

月ヶ瀬葵の趣味を作ろう大作戦・大食い編

結果:失敗

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