第3話[ヲタク、スキルの詳細を見る]

王様に案内された食堂で夕食を取った後、2年C組のみんなは各々個別の部屋に通された。

そして俺はその、個別に与えられた部屋の隅で、一人泣いていた。

正確な時刻は解らないが、空には一つの月が昇っている。

すなわち、19時を過ぎた可能性が高いのだ。

向こうの・・・元々の世界と、こちらの世界に時差はほとんどないように思える。

すなわち、星見ココロさんの配信を見逃したということになる。

アーカイブは残るが、やはり生放送で見たいしコメントもしたい。

スマホはあるが、残りの電池は10%を切っているし、当然ながら電波なんてあるわけもない。

つまり、今の俺には、配信を見る手段がないのだ。


緒拓「はぁ・・・」


ひとます当面の目的だが・・・。

やはり、いち早く元の世界に戻るのが一番だろう。

そのために、可能性があるのは魔王を倒すことだ。

神との契約・・・とか言うやつのおかげで、魔王を倒せば元の世界に帰れる。

というかそれ以外の方法は解らない。


緒拓「ステータス」


—————————

真自野 緒拓

Lv1

職業「ヲタク」

HP 20/20  MP 13/13

攻撃力10  耐久力7

機動力12  抗魔力7

WP 70892/100

スキル

「魔術保管」「品定め」「限界化」「Wショップ」

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おや?先ほどまで99999あったはずのWPとか言うステータスが7万まで減っているぞ?

どこかで使ったのかな?

まぁいい。

スキル欄をよく見て見ると、詳細を見ることができた。

まずは「魔術保管」とか言う・・・唯一の戦闘向きっぽいスキルだな。


――――—————

「魔術保管」

発動された魔術を一時的に保存可能です。

又、保存した魔術を使用することも可能です。

保存した魔術は一度使用すると消えてしまいます。

保管可能の魔術:0/1

――――—————


ふむ・・・。

正直あまりよくわからないスキルだな。

名前の通り魔術を保管できるのだろうが、どうやって保管されるのだろうか?

そもそも魔術とはなんだ?

分からないことが多すぎる。

次のスキル、「品定め」の詳細を見る。


―――――――――

「品定め」

指定した物品の詳細を表示することができます。

ただし、生物相手には使用不能です。

―――――――――


これは案外わかりやすいな。

つまりはファンタジー小説あるある、鑑定の物限定版だろう。

性能はともかく、使い勝手は良さそうだ。

試しに使ってみようとも思ったが・・・ダメだ、どう使うかわからない。

まぁそのうち誰かに聞けばいいだろう。

次のスキル「限界化」の詳細を見る。


―――――――――

「限界化」

WPを任意の量消費して発動可能です。

WPを100P消費することで、ステータス一つを+1させます。

効果継続時間は1分です

―――――――――


これは・・・強化系のスキルか?

WPの使用方法は分かった。

例えば100P消費することで、1分間の間攻撃力を1上昇させるとか、そのあたりだろう。

今の俺の残りのWPは・・・。

ありゃ?さっきまで7万はあったはずなのに、もう5万まで減っている。

もしかしてステータスを表示している間は常に減り続けるのか?

いいや、そんなことは無いだろう。

ステータスを見始めたのは今さっきだ。

それまでの間はステータスを見ていなかったし・・・。

回復方法はわからないが、WPを消費すれば理論上はステータスを一時的に大幅に上昇させることができるのか。

上限はなかったし、今なら攻撃力を500も上げられる。

まぁ、1分という限定的な時間だし、使い方もわからないが・・・。

ともかく、次のスキル「Wショップ」を見る。


―――――――――

「Wショップ」

ゴールドを消費することで指定したアイテムを入手することができます。

また、ゴールドは魔石を消費することで一定量が入手可能です。

現在0ゴール後保有

―――――――――


完全にネットショップだ。

使う金が円ではなく、ゴールドなことを除けば、最も使いやすいかもしれない。

しかし・・・商品が見えないな・・・。

ここが使い勝手の悪いポイントだ。

しかし検索はできるらしい。

何が買えるかわからないが・・・試しに「剣」と入力してみる。


―――――――――

現在交換可能な「剣」は以下の三本です

「銅の剣」1000G

「鉄の剣」1500G

「鋼の剣」2000G

―――――――――


ふむ・・・。

何がいいのかわからないな。

まぁ、今はゴールドがないし、買えるとしても別に剣はいらない。

とまぁ、これが俺のスキル一覧だ。

正直強いかどうかはわからないが、これでどうにか魔王を倒さなければならない。

それもいち早くだ。

最悪勇者である中村くんにすべてを任せるしかない。

そんな事を考えながら、俺は制服姿のまま、部屋に備え付けられたベッドにもぐりこんだ。

はぁ・・・ココロちゃんしの配信が見たい。

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