水みたいに

mituna

水みたいに

朝になって蝉の声がしてる

暑さが僕を揺らしている


僕らはきっと真面目で

きっと素直じゃなくて


そんなことわかってるよね

うん、わかってるんだ


ジリジリと響く耳と火星の下

ジュースが甘ったるくてさ

ついついなんでも出来る気がしてた

そういうことだけでよかったのにさ


簡単に期待して

散々に外しちゃって

頭の中だけしか信じられない

そうやってなっちゃったよね


淡い淡い夏が僕を包み

溶かして融かしてしまえたら、海に

後悔すら想像すら特別じゃないと照らしきって

もう会うことのないようなあの雲に見惚れていたい



僕らは防衛本能で

きっと仕方がなくて


でもさ、そういうのはさみしいんだ


リンリンとゆれる風と屋根の中

なんだって綺麗に見えてさ

会いに行けると思ってた、いつまでだって


ゆらりゆらりと僕は浮かび

伸ばしてもどうしても見えない花火

今日きょうは」とか「よくできた」も

僕は優しい目を持って消していくよ、ずっと


淡い淡い夏を僕が掬い

いつだってきらきらしてる水に

後悔すら想像すら特別じゃないって

手をつないでまたあの下で

もう会うことのないようなあの雲に見惚れていようよ

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水みたいに mituna @mituna44

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