壊れる音

第6話 損壊

☆(遠野和葉)サイド☆


何だか廻が冷たい気がする。

まあとは言っても.....原因は何となくだが分かる気がする。

私が2人の彼氏を持っているせいだろう。

でも何故なのか?廻が冷たいのは。

だってそれだけだから。


「.....」


あくまで私はどっちにも愛を注いでいる。

だからそんな感じで嫌われる理由が分からない。

無条件の愛を注げばそれは慈愛ではないだろうか。

違うのだろうか?

私は考えながら翌日を迎える。


「廻.....朝食は美味しかった?」

「.....そうだな。.....美味しかった」

「そ、そっか。良かった」

「.....」

「.....」


リビングで朝食を食べた私達は会話が途切れ途切れになる。

私は困惑しながら顔を上げてみる。

廻は嫌な顔をしていた。

何というか私とは一緒に過ごしたくない感じの気配だ。

私はその事にごくりと唾を飲み込んで一歩踏み込んだ感じの言葉を発する。


「.....私はあくまで廻だけしか見てないよ?」

「.....」


廻の顔はかなり険しい。

それが解けれてない気がする。

私は困惑しながらその顔を見ながら「え、えっと」と言い淀む。

そうしていると盛大に溜息を吐いてから「和葉」と言葉を発した。


「.....な、何?」

「別れよう」

「え.....」


私は酷く動揺しながらその言葉を受ける。

そして青ざめる。

また唾を飲み込んでから「ど、どういう事?」と言葉を発する。

すると廻は「お前は浮気をしているだろう」と言った。

私は「.....」という感じで無言になる。


「日本では.....男と女は一対一だ。.....だから浮気なんてのは許されない」

「私は.....」

「何か?反論があるか?」

「.....」


慌てながら私は廻を見る。

すると廻は「学校に行く」と言いながらそのまま椅子から立ち上がって去って行く。

私は大慌てになりながら「め、めぐる.....」と言うが。

「それから」と言葉を言ってくる。


「義妹と義兄の関係だ。.....それだけだから」

「.....私は.....そんな大事になるなんて思ってなかった。.....し、信じて。私はどっちにも愛を注いでいたの。無条件の愛を」

「先程も言ったけど。日本じゃそれは許されない。外国にでも渡ったらどうだ。お前」

「待って。私が.....居なかったら貴方は彼女無しだよ?」

「.....お前は反省したらどうだ。少しは。俺は浮気している彼女が居なくても構わない」


そう吐き捨てられた。

そして学校に行ってしまう廻。

私は涙を流しながら「どこがいけないの.....」と泣いた。

意味が分からない。


「.....」


私はその事もありもう一人の彼氏の須郷富嶽(すごうふがく)に相談した。

すると富嶽くんは「そんな彼氏は捨ててしまって俺だけを愛したら良いんじゃないか?」と優しく接してくれた。

その事もあり私の精神は安定した。

私は(須郷くんと共にある)と思えた。


「.....だけど.....」


廻が忘れられない。

今までずっと2人で私の心は満たされたのだ。

だから足りない。


何かが足りない気がする。

私は.....思いながら下半身に手を伸ばした。

それから自分の.....下半身に触れてみる。


「っ!」


そんな事を言いながら私は悶絶する。

それは.....快感だった。

何というか廻を思いながら.....結局私はその場で下半身を揉んでやってしまった。

それから「い.....く」と甘美な声を発した。

ビショビショの手で涎を出しながら思いっきり腰をガクガクさせて悶絶する。


「.....やっぱりこれじゃ足りない.....」


あくまでこっちは廻に挿入される感覚を味わいたい。

処女は初めて付き合っている人に渡したいのだ。

私はそう考えながら玄関を見る。


もしこのまま嫌われたら?

そして拒絶されたら?

そうなるなら私は.....先に廻を襲えば良いじゃないか?

そんな狂った思考が巡り始めた。

私は何が悪いのか。


「.....じゃあ廻が私に愛情が向く様に洗脳すれば.....」


いや駄目だ。

そんな事をしても意味がない。

だけどもうそれしか手がない気がする。


私はそんな事を考えながら視界をグラグラさせる。

あくまで私は足りない物を補っているだけだ。

じゃあ何が悪いのか?


「.....」


私は考えながらそのまま手を洗う。

それから玄関から出てから鍵をかける。

もうこうなったら一か八かだ。

私のこの親の再婚の寂しさを満たすには廻と富嶽が必要だ。

だから絶対に譲れない。


「.....待っててね。廻。私は.....貴方も富嶽もどっちも手に入れるから」


プツンと何かが切れる音がした。

何かといえば多分.....私の理性が壊れる音だ。

理性なんて無いも同然の様な言い方されたけど私だって理性はある。


理性というリミッターを今、私は外した。

さてどうするか。

そんな事を考えながら私は浮き足だった感じでそのまま高校に向かった。

あくまで2つなければ私ではない。

それを思えた。

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