第5話 白髪という個性
☆(遠野廻)サイド☆
うーん。
何が起こっているのか分からないが俺は東條の家に呼ばれた。
お呼ばれした感じだが.....何故俺はそんな東條の家でオムライスを食べているのだろうか.....しかし相当に美味いなこれ。
なんというか卵も半熟でプロ並みだと思う。
「美味しいでしょ?私の妹の料理は」
「そうですね。正直ビックリです。こんなに美味しいとは」
「卵とかにこだわっているからね」
「そうなのか。それで美味しいんだな.....だけどそれでも技量が要ると思う。かなり美味しいと思うが凄いなお前のテクニックは。シェフかな?」
「私はそんな人間じゃないよ。ただ.....お姉ちゃんがお料理下手なのと私が.....引きこもっていたからね」
聞いてはいけない事を聞いた気がした。
俺は匙を置きながら東條を見る。
すると東條は「練習になったけどね。.....お料理とかの。引きこもっていた間は」と明るい感じを見せる。
その言葉に(ふむ)と思いながら東條を見る。
そうしているとお姉さんが「まあでもそれは花嫁修行と思えば」と切り出す。
「.....花嫁修行って.....」
「色々あったけど.....でも今がマシでしょ?」
「まあそうだけど。お姉ちゃんは言い方が過激すぎるんだよ」
「そうかしら?あはは」
そんな感じの2人を見ながら俺は笑みを浮かべる。
するとお姉さんが「ね。遠野くん」と言う。
俺は「はい」と返事をした。
お姉さんは「君みたいな子が居るなんて思わなかったよ。.....良い子だね」と笑顔になる。
「.....俺は良い人じゃないです。浮気もされるぐらいに何かが足りないんだと思います」
「そうかしら?私からすればそうは見えないわ。もっと自信を持って良いわよ?」
「そうですかね。.....そう言ってくれるだけありがたいです」
「.....貴方は本当に良い子だと思うわ。貴方の様な子を捨てるなんて見る目ないわ」
「まあ.....ですかね」
俺は東條に苦笑する。
すると東條は「お茶を入れてくるね」と台所に行った。
それからお姉さんは「浮気されたのは残念だけどそれも人生よ」と話してくる。
「実際私も浮気じゃないけど別れたから」とも言葉を発する。
俺は「?」を浮かべてお姉さんを見る。
「私の場合は彼から別れたいって言われた。.....お互いにすれ違っていたから」
「そうなんですね」
「うん。.....だから貴方を食べてしまおうかと」
「.....」
苦笑いを浮かべた。
そしてお姉さんを見る。
お姉さんは「こう見えて胸も大きいし」と胸をたゆんたゆん揺らす。
俺はまた苦笑いを浮かべていると東條が「不埒!!!!!」と怒った。
それから「どっか行ってよお姉ちゃん。そういう事するなら」と目を三角形にする。
「あはは。冗談よぉ」
「全く.....変態なんだから」
「.....」
本当に(幸せそうな姉妹だな)と思う。
(それに比べて俺は)と考えてしまった。
そして溜息を気付かれない様に吐きつつ「東條。今日はありがとうな」と切り出す。
それから「お前も大変だろうけど.....頑張ってな」と言う。
「.....うん。ありがとうね。遠野くん」
「.....長居をしても仕方がないからお暇するよ。.....お茶飲んだら」
「そっか。.....気を付けてね?」
「そうだな。うん」
そして俺はお茶を飲んでから暫く話してからお暇した。
それから俺は気持ちを整えてから家のドアを開ける。
鍵を持ってリビングまで行くと不貞腐れた様に和葉が寝ている。
俺はその姿を見ながらそのままドアを閉めようとした。
すると和葉が「おかえり!!!!!」とイライラした様に反応した。
「何でイライラしてんだ」
「彼女を置いてどっかに行ってしまう人は知らない」
「.....」
よく言うぜ。
お前自身も浮気しているくせに。
思いながら少しだけイラッとして反論しようとしたが疲れていたのもあり。
俺は目を閉じてから開けつつ溜息を吐く。
それからそのままドアを閉めた。
それから俺は自室に戻る。
すると電話がかかってきた。
その電話の主は.....東條だった。
今日、電話先を交換したのだが.....何だ?
「もしもし。どうした。東條」
『もしもし。遠野くん?.....今日はありがとうって思って』
「何もしてない。お前からのお礼だろ」
『そうだね。確かにそうだけど.....でも付き合ってくれたのは君だし』
「.....まあ俺も気晴らしになったから。浮気された分のな」
『そっか』
そして数秒間沈黙する。
それから東條が『ねえ。遠野くん』と言ってくる。
俺は「何だ?」と聞くと。
『私は白髪だけどそれは君は嫌にならない?』と質問してくる。
「嫌ってのはどういう意味だ?俺は.....それも個性があって良いと思うぞ」
『.....君は本当に優しいね。遠野くん』
「.....少なくともこれは優しさじゃない。礼儀だから」
『そうかな。そんな感じで自然に言葉が出るのが凄いよ。.....私は化け物扱いだったから』
「.....最低だよなそういうの」
『それが当たり前と思っていた。.....君に出会うまではね』
それから『ま、まあなんていうか。その。お礼が言いたかっただけ。じゃあね』と電話は切れた。
そして俺は天井を見上げる。
化け物.....か。
そう思いながら.....複雑に思った。
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