第3話 ただでさえムカついているのに
☆(遠野廻)サイド☆
俺は自宅まで帰って来た。
それもびしょ濡れでだ。
あまりの絶望にびしょ濡れで居られなかったので良かった。
思いながら俺は自宅に帰って来てからそのままシャワーを浴びる。
そうしていると洗面所のドアが開く音がした。
それから俺は水を止めながらその音を聞く。
すると「廻?お風呂入っているの?」と聞いてくる。
俺はその言葉に「まあな」と返事をした。
「そっか。どうしたの?」
「.....雨に濡れたから寒かった」
「あ。傘持ってなかったの?」
「そうだな。.....いきなりの土砂降りだったからな」
「そうだね。凄かったよね」
そんな事を言いながら洗濯機を動かす音がする。
俺はその事に眉を顰めながらシャワーを浴び始める。
すると「廻。.....今日は学校が忙しかったからごめんね」と言う。
嘘ばかり吐くね。
思いながら俺は額に手を添えつつかなりイラッとする。
「.....廻と一緒に居たかったしデートしたかったしね」
また嘘ばかりだな。
思いながら俺はイライラしながら石鹸を潰すぐらいに握りしめる。
悲しかった。
そんな嘘を言われたのが、だ。
本当に最悪な気分だ。
「.....上がるからちょっと退いてくれるか」
「上がる?あ、拭いてあげようか?」
「.....冗談.....良いよ」
そして俺は和葉を退かしてからタオルで体を拭いてから服を着てから表に出る。
そこに和葉がニコッとしながら立っていた。
俺はその姿を見ながら一瞬だけ不愉快な感じを見せた。
だけど慌ててから笑みを浮かべた。
それから和葉を見る。
「.....元気か」
「元気だよ。とっても元気。貴方の彼女は」
「.....」
髪の毛はストレートヘアの肩までの栗毛。
それから顔立ちは小顔でかなりの美少女である。
だけど今はその顔が悪魔の様な感じに見える。
思いながら俺は静かにその顔を見る。
そして考え込んだ。
「.....なあ」
「何?廻」
「.....いや。何でもない」
俺は言い出したかったが.....結論から言って関係上。
いや義妹と義兄.....上。
今じゃない気がして一瞬だけ躊躇ってしまった。
そのお陰で聞きそびれた。
「お茶にしよう。廻」と声をかけてくる和葉。
俺はそんな和葉を見ながら「.....そうだな」とだけ呟きながらそのままコーヒーを飲み始める。
ブラックコーヒー。
苦いが今は苦痛でもないぐらいにすぐ飲めた。
何故なのか.....。
「ねえ。廻」
「なんだ」
「今度のデートだけどさ。.....遠出しない?」
「.....」
デートという言葉に俺は嫌気が差す。
どうせコイツは浮気者だ。
だからそういうのは.....。
また考えながら俺は和葉を見た。
それから「すまないけど用事がある」と断った。
すると和葉は目を丸くする。
「え?デートよりも.....?」
「学校の用事でな。.....それで忙しいんだ」
「.....そうなんだ。大変だね。廻も。うん分かった」
それから和葉はニコッとしながら目の前のケーキを食べる。
そして俺は家事を和葉に任せてから2階に上がる。
そうしてからペンたてを吹っ飛ばした。
軽いから音が鳴らないし。
思いながら俺は歯を食いしばる。
「.....何でこんな事に」
そう呟きながら俺は上着を羽織ってからそのまま「すまないけどルーズリーフ買ってくる」と言いながら表に出る。
和葉が「え?ルーズリーフなら貸してあげる.....」と言ったが。
「気分転換にな」と言ってからそのまま表に出た。
それから早足で近所のスーパーに行くと。
「姉ちゃん。付き合ってくれるか?」
「そうそう。白髪の美人なんて珍しいしな」
そんな感じで女性が大学生?みたいな奴らに陰で絡まれていた。
通行人は避ける様に去って行っている。
女性は.....え?
白髪っつったか?
俺は考えながら「オイ」と声をかける。
「すまない。俺の彼女なんだ。その子」
見たらやっぱりだったが東條だった。
東條は「え.....」という感じで俺を見てから目を丸くしていたが。
俺の言葉に頷いてそのまま立ち去る感じになる。
だが。
「待てコラ。お前彼氏か?今までなんで絡んでこなかった」
という感じで察しの良い事を言い出す大学生。
俺は盛大に溜息を吐いた。
それから東條を押してから俺から離してから2人を見る。
金髪ニット帽。
そして片方はピアス。
バカじゃないのかコイツら。
「おいおい。俺達が先だっての。どっか行けよ」
「一応言うが彼女が怖がっている」
「.....何処の高校生?ガキだお前」
そんな感じで一気に笑いながら絡まれる。
東條は周りの人に助けを求めるがみんな「関わりたくない」感じで去って行く。
或いはスルーか。
俺は盛大に溜息をまた吐く。
「.....俺さ。ムシャクシャしているんだよ。彼女に浮気されてさ。.....それでこの有様は相当腹立つんで」
「は?知るかよ」
「.....見逃してくれねぇかな」
「しらねぇよ。お前の事情なんか」
そして遊ぶ様に殴りかかってこようとする大学生の頬を骨が折れるぐらいの鈍い音が鳴る感じで思いっきり殴り飛ばした。
その衝撃で前歯が、ニット帽が飛んだ。
俺は知ったこっちゃないと思いながらピアスの方を見る。
ピアスは「ひえ」という感じでドン引きしていた。
気絶する金髪。
「で。お前もかかってくるの?」
「.....い、いや。すまなかった」
そう言いながら謝ってくる大学生の片方。
つまり金髪の方の胸ぐらを掴む。
それから揺らして脳震盪を強制的に覚まさせて起き上がらせてから「謝れ。あの子に」と告げながら睨みを効かせた。
そして拳を握った。
「.....ま、待て。謝るから」
「3秒以内にな。じゃないともう一発殴る。本当に腹立っているしな俺は」
「ヒィ!」
そんな感じの様子に。
「待って!」
そんな声がした。
背後を見ると東條が「やり過ぎだよ!」という感じで見ている。
俺は「だけどお前を脅した奴らだぞコイツら。謝らせないと」と言うが。
「もう良いよ.....」と俺の手を引く。
それから「ありがとう」と東條は笑みを浮かべる。
「.....」
「.....君が助けてくれるなんて思わなかったから。それだけで十分」
「.....そうか」
大学生は逃げて行った。
俺はその姿を見ながら東條を見る。
東條の頬は朱に染まっている。
「えへへ。でもすっごい格好良かった」と言いながら。
白にピンクで愛らしいが.....。
「.....そうか」
俺はそれだけ言ってからそのままスーパーに向かう。
少ししてサイレンの音がしたのでそれから慌てて逃げる様に。
すると何故か東條が付いて来る。
それも「何を買うの?」的な感じでだ。
何だコイツ。
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