第2話 白髪への思い

☆(東條奈々)サイド☆


不思議な.....いや。

本当に謎な人に出会った。

それは魅力があるとかそういう人じゃないとは言える。

だけど私と同じ相手に浮気された人だった。


私はその人にコンビニの1000円の新品の傘を土砂降りの中、貰った。

だから私は恩返しのつもりでその人にお弁当を作ってあげる事にした。

彼は死のうともしたし.....これぐらいは良いだろう。


「奈々ちゃん」


家に帰って来ると姉の東條菜々緒(とうじょうななお)が話しかけてきた。

私はヨシヨシされる。

恥ずかしくなって押しのける。


「もー」と言いながらだ。

すると姉はヨシヨシするのを止めてから「可哀想にね」と私に言ってくる。

その言葉はかれこれ4度目だった。


4回私は男性に浮気されたのだ。

まあもう.....慣れていたけど。

だけど凄く悲しい。


「貴方は悪くないわ」

「.....でもこの見た目は化け物だって思うしね。.....お年寄りみたいな」

「純白の天使なのにね。.....見る目が分かってないわ」

「もう慣れたけどね。.....でもいざ浮気されると悲しいかな」

「そうね.....」


そして私は傘を傘立てに置く。

すると「?」を浮かべたお姉ちゃん。

それから「あれ?こんな綺麗な傘なんて持って行ったっけ?」と聞いてくる。

私はビクッとしながら「い、いや」と反応する。


「.....もしかして貰ったの?」

「そうだね.....うん。ちょっと貰った。.....男の人に」

「え!?男の人?!」

「そうだね。.....浮気相手じゃないよ。その人じゃなくて雨が降っているからってコンビニで傘を買ってくれたの」

「んまあ。そんな人が.....健気ね」


お姉ちゃんはニコニコしながら私を見る。

「でもそれでも性格は変わりないでしょうね」と言いながら苦笑い。

私はその言葉に(そうだね)と思いながら頷く。

そしてお姉ちゃんは怒りながら「どうせまた」という感じになる。

私は首を振った。


「だけど今度のその男の人は違う。女子に浮気されたって感じだった。そして今に至っている。.....自殺しようとしたの」

「.....そうなのね」

「そして止めた。.....私は.....目の前で死なれたら困るって言った」

「.....貴方は優しい子ね」


そしてまたナデナデしてくる。

お姉ちゃんの癖も困ったものだ。

思いながら私は「もう。止めて」と怒る。

それから玄関を上がってリビングに行った。

するとお姉ちゃんは「着替えてきなさい」と言ってきた。


「.....そうだね。.....着替えようかな」

「ええ。.....それから話を聞かせて?その子の」

「.....だけどただそれだけだよ?.....まるでそんな感じでもない」

「うん。だけど興味はあるわ」

「なら聞かせるけど」


そう言いながら私は苦笑しながらお姉ちゃんを見る。

するとお姉ちゃんはニコッとした。

それから「紅茶淹れようかな」と言ってくる。

私はその言葉に「暖かい紅茶が飲みたいな」と言う。



私の家は複雑だ。

というのも親が私達に全く興味がない感じで複雑だ。

捨てているとも言える。

家はいつも私と姉だけだ。

子育てしてから見捨てられている様な有様である。


それには理由がある。

それは.....私の髪の毛の色だ。

髪の毛の色が白色をしている。


髪のメラミン色素が無いのだろうけどこれに親は「呪いだ。気持ちが悪い」と言いながら「産んだ責任だけは持つけど」と言う反応をした。

そして私を今の独り立ちするぐらいまで育てた.....が。

それ以降は言葉も交わしてくれない。


「.....酷い親だよね」

「そうだね。だけど仕方がないんじゃ無いかな。.....私、呪われているし」

「そんな訳無いでしょ。貴方は十分に個性があるわ。その髪の毛も.....個性よ。優しい個性」


お姉ちゃんだけは白髪を呪いとかどうのこうので怖がらず。

家族を捨てても働いて私を養うと決めてくれた。

そんな姉が好きだった。

だけどそのお陰でお姉ちゃんも(同類だ)と判断されて私達は捨てられた感じになってしまった。


最低な親で全て私のせいだが。

お姉ちゃんは首を振ってから「貴方のせいではない」と言った。

そして私を優しく抱きしめてくれた。

その事がどれだけ嬉しかったか。


「私は職場で良いヤサ男に巡り会わないから.....貴方だけでも良い男に巡り合ってほしいわー」

「.....お姉ちゃん.....何だかそれ嫌だ」

「あら?何で?あはは」


お姉ちゃんの髪の毛は黒色をしている長髪だ。

そして私と同じ小顔で美人の顔をしている。

だけどモテる事がない。

その事をお姉ちゃんが呟くのを聞く人生だ。

だけどそれはとても幸せな事で.....本当に些細な事を話し合える幸せというのを噛み締めれた。


「でも貴方だけでも幸せになってほしいわ。.....必ず」

「うん。お姉ちゃん」


そして私達は対面で笑み合う。

それから紅茶を飲んだりしてお茶菓子を食べたりして過ごした。

そうしてから私はスーパーに食材を買いに出かけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る