第38話 そんなに重くないよ!

 まずいまずい。まだ死にたくない。まだまだファームしたい。友達もできたのに。あれ、そう言えばシエラは……私と同じように拘束されてて、まだ寝てるし。


「シエラ! 」


呼んでも反応がない。なんなら頬ゆるんでるし。さぞかしいいお夢を見てるんでしょうねぇ。ミステリアスお姉さん的な印象持ってたけど、こういう一面もあるんだ。これって、ギャップ萌えってやつ? 状況的に全く燃えないんですけど。目の前の木、燃えてくれないかな。そしたらすぐ逃げれるのに。


そんなことよりも早く解決策を考えないと。幸いなのは手足がまだ伸び切ってないから……っそうだ。あえて私が手足を広げて余裕を作ってから、思いっきり体ひねったら千切れるかも? 運動会とかの綱引きのやったら危ないやつみたいに。


なんか木の魔物も私が抵抗できないと思ってるのか油断してそうだし、やるなら今。少し離れてるけど、私のハンマーも落ちてる。これさえ拾えれば。


「ふっ 」


思いっきり枝を押してそのままひねる!


ミチミチミチ、ブチッ!


よし! 全部はちぎれなかったけど右腕の枝だけはちぎれた。これで右腕は自由。そのまま左腕もちぎる!


すると予想外の反撃に驚いたのか木の魔物は足の拘束を解いた。


よし! そのままハンマーを取りに行けばっ……って、しまった。木の魔物は驚いて拘束を解いたんじゃない。わざと解いたんだ、私の武器を奪うために。それだけは阻止しないと!


……ん? あれ? 持ててなくない?

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