第39話 逃げるは恥だがなんとやら

そのハンマーそんなに重いっけ? 私を軽々持ち上げる奴が苦戦するほど? なんか武器屋のおじさんが言ってた気がするけどなんだっけ。


理由はなんであれとりあえず魔物に隙ができた。


その武器私のだから返してもらうよ! 


武器に向かって走り奪い取ることに成功した。枝は私が武器に近づくことを牽制しにきたけど、動きが遅い。ならこのままハンマーでぶっ飛ばすだけ。戦いは好きじゃないけど、命には変えられないし。


「はっ」


ハンマーを担いで一気に地面を蹴り、魔物へ近づく。上、左、右。両脇から枝が伸びてきた枝をかわす。やっぱり動きは遅い。でも手数が多い。近づくほどにその枝は集まってくるからどうしても避けられない。ならハンマーで叩くだけ!


大きく振りかぶってスイング。当たった枝が千切れ飛ぶ。そのすきに魔物本体に近づきそのまま顔のある幹にもう一発。枝が阻止しようとするが無意味。ブチブチとちぎれ、勢いも止まることなくそのまま幹に当たり、そのまま折れ倒れた。


「ふうー」


勝った。勝ったんだけど……この量はちょっと……


見渡すとざっと20をこえる木の魔物がこちらを見ており、枝を伸ばそうとしていた。


私のハンマーは一撃必殺みたいな攻撃スタイル。流石にこの手数じゃさっきみたいに手足を縛られて終わる。なら逃げるしかない。初めから逃げる気満々だったのは内緒だけど。


「シエラ! 」


まだ寝てるし! 起こすのは無理そう。こんな音鳴ってるのに起きないくらいだから。とりあえず拘束を解いて、起きるまで担ぐなり引っ張るなりして逃げよう。拘束が解けたら起きるかもしれないし。


ところでシエラさん、体重軽いよね?

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