第33話 えげつない……よね?

「でもなんで薬草採集がCランクなんで……なの? 」


シエラに連れられ、森の中をてくてく歩いている時そんなことを聞いてみた。薬草採取ってやっぱり初心者向けのイメージが強いからね。


「あーそれはね、場所が場所なんだよ」


「強い魔物がいるってこと?」


「まあそれもそうだけど、1番の理由はそれじゃないかな」


「1番の理由?」


「それはね、うーん内緒」


「え?」


横並びで前を向いてるから表情まではわからないけどきっと悪い笑顔を浮かめてるんだろうな。


「ついてからのお楽しみだね」


あの、私は全然楽しくないんですけど。文句の一つでも言ってやろうとした時、急にシエラが歩みを止めた。


「右に2体、左に3体のゴブリン。左任せるよ? 」


「了解! 」


さっきの声色とはまるで違った声で一気に緊張感が増した。敵のおでましだった。


元々シエラに索敵能力があるのは聞いていたけど舐めてた。私全然気づかなかったよ。聞いた時何それずるいとか思ってたけど、習得した時は山へ狩猟しに5年くらい行っていたらしい。


引きこもり気質の私には無理な話だった。引きこもりじゃないけどね!


いつも通りスプラッシュしてシエラの方を振り向くとすでに終わっていた。でもなぜか顔がひきつっていた。どうしたんだろう?


「ねえ君。そのハンマー見た時から薄々勘付いていたけど、結構えげつない倒し方するんだね」


「あ、えっと……これは……」


やばい、何かいいわけしないと。えっと……


「いや、いいんだよ? 戦い方は人それぞれだからね」


そうは言うけど目線は私から外れてるんですけど。やばい、完全に引かれた気がする。こういう時どうすればいいの! 誰か助けて!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る