第32話 握り主導権、一貫
うーん、どうしよう。いやね、ここんところあんまり採掘場の前に魔物がいなくて、気分良くファームに没頭してたんだけど困ったことになってね。
何かというと、お金だね。そう、お金がそろそろ足らなくなってきた。流石に今日明日は大丈夫だけどそろそろまずい。てなわけでギルドにやってきて、クエスト受けようしてるんだよね。何かいいのないかなーっと。できれば魔物と戦わないタイプのやつがいいんだけど……
んー、ソロで尚且つ魔物と戦わないのなんて流石にないよね。今日は諦めて明日にしよっかな。なんて考えていると、
「ねぇ、今君あいてる?」
振り返るとエルフっぽい女の人が腰に手を当ててこっちを見ていた。耳が普通だからエルフじゃないだろうけど。薄緑色のロングヘアが似合う美人さんだ。身長は私より少し高め。胸は……勝った。よし。
「えっと、あいてますけど、どうしましたか?」
「敬語はいいよ。私19だし」
そう言って手を振る。そんなに歳が離れてないことにびっくり。
「どうしたの、だったっけ? 良かったら私とパーティ組まない? ここにいるってことはCランクなんでしょ?」
「そうで、そうだよ?」
「なんで疑問形? まあいいけど。それなら手伝ってくれない? 1人じゃ厳しくてさ。ほらこれ」
そう言って一枚の紙を渡される。そこに書いていたのは薬草採集。まさに私の探していたタイプのクエスト。もちろんオッケーなんだけど一つ確認したいよね。
「これって、魔物と結構戦う感じ? 私戦うの苦手というかあんまり好きじゃないんだけど、大丈夫かな?」
「Cランクなのに?」
少し訝しげに見てくる。そんな顔で見られると不安になってくるよ。
「うん」
「まあいいけど。安心して、メインが魔物討伐じゃないからそこまでだと思う。君に頼みたいのはそこじゃないしね」
良かった。なら引き受けてもいいかな。でも、私に頼みたいのってどんなことだろ?
「私に頼みたいことって?」
「んー、それはついてからのお楽しみ。で、どうする? 着いてくる?」
なんかすんごい嫌な感じがするけど、お金ないしなぁ。魔物ともあんまり戦いたくないから引き受けるしかないか。
「引き受けるよ」
「よし、なら決まりだね。私はシエラ。見ての通り弓使い。たまに短剣も使うけど、今日はよろしく」
「よろしくね。私は……」
私も軽く自己紹介した。って、いつの間にか主導権握られちゃってるし……私頼まれる側だったはずだよね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます