第26話 意外とフランク?

「あのー、武器が買えるって聞いてきたんですけど……」


そうは言ったけど絶対これ素人が来る店じゃないって。逃げたい……よし決めた、逃げる!


「失礼しました」


「嬢ちゃん」


「はい!」


呼び止められてしまった。軍隊よろしく綺麗な姿勢で回れ右をする。


「そんな緊張せんでええよ」


それならもっとフランクな雰囲気をですねぇ。


「わ、かりました」


「で、嬢ちゃんは誰の紹介で?」


「ギルド職員のお姉さんなんですけど、名前は教えてくれなくてわからないです。この地図を渡してくれたんですけど……」


「ああ、あいつか」


少し雰囲気が柔らかくなった気がする。知り合いなのは間違いなさそう。


「嬢ちゃん名前は?」


「リターです。よろしくお願いします」


行儀良く頭を下げる。


「わしはベスだ。見ての通り武器屋をやっとる。ちなみに嬢ちゃんの言っとるお姉さんはニーアっちゅう名前なんだが、あいつには借りがあるからな。よし分かった。あいつが贔屓にするっちゅうことは見込みがあるってことだ。いいぞ、どんな武器が望みかゆうてみい」


わあすごい。急にめっちゃ喋るじゃん。一気に雰囲気も柔らかくなったし。これは交渉成立ってことだよね。よかった、よかった。でも欲しい武器かー。言われるまま来ちゃったから、何も考えてなかった。ろくに武器も触ってこなかったから、得意な武器とかも分かんないし。


「なんや、まだ決まっとらんのか」


「すいません、冒険者始めたばかりで……」


「そうかい。ならどういう戦いがしたいとかあるか?」


「魔物と戦いたいというよりは、採掘場の近くに出るモンスターを倒せればいいんですけど……」


「採掘場? 嬢ちゃんまさか採掘クエストでもやっとるんか」


「はい。趣味みたいなものでして」


「そうかいそうかい。昔からそういった物好きは1人や2人くらいはおるからな。わしとしては金属鉱石が入ってくるからありがたいんだが」


怒られるかなって思ったけどそんなことなかった。


「なら、ハンマーとかはどうだ? そういう奴は皆ハンマーを使っていたが。それで採掘もできるからな」


そうなんだ。確かにできそうだし効率も良さそうだけど、そんな扱いしたら怒られると思ってた。


「いいんですか?」


「いいも何も、採掘するだけで壊れるようなそんなやわなもんは作らんよ。それより持った硬い魔物もおるしな」


へーかっこいい。っていうか、鉱石より硬い魔物って何? バケモンなの?

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