第25話 ドワーフじゃなかった……

「あれ? 道間違えたかな」


地図通り進んでいたんだけど、気づけば薄暗い路地的な場所に来ていた。人が通るには十分な広さだけど雰囲気は良くないなぁ。悪い人が出てきそうな感じがする。


か弱き乙女である私がそんな人たちに会ってしまったら最後、何をされるかわかったもんじゃない。早く武器屋さんに着かないと。地図と睨めっこしつつ先を急いだ。


そして何事もなくたどり着けた。思ったよりこの世界は平和なのかもしれない。にしても、これ知ってないと絶対辿り着けないタイプのお店だ。いわゆる隠れ家的なあれ。


扉の前に立ち、軽く3回ノックする。


コン、コン、コン。


あれら反応がない。聞こえてないのかな?


コン、コン、コン。


さっきよりちょっと強めにノックしてみたけど、やっぱり反応がない。場所間違えたのかな? 地図をもう一回見ても、ここで間違いなさそうだけど。


「失礼しまーす」


ドアに手をかけると立て付けが悪いのか開けにくかったけど、入れるほどの隙間は開いた。鍵はかかっていなかったみたい。これ勝手に入ったら不法侵入とかになるんかな? なんて考えていると、


「いらっしゃい」


中からしわがれた低めの声が聞こえた。何だ、居るじゃん。よかった。


「失礼しまーす」


恐る恐る中に入った。薄暗かったけどイメージ通りの内装の武器屋で、気難しそうなおじさんがいた。うわーすごい。テンション上がるね。そう言えばこの世界で人間以外まだ見ていないな。ドワーフだったら完璧だったんだけどね。

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