第27話 持ち上げたらあっか〜ん
「すみません」
「ええよ。それでハンマーでいいか?」
「はい。大丈夫ですけど、私にもも持てるんですか? 結構重いと思うんですけど」
「ん? 嬢ちゃんなら大丈夫だとは思うが……一応測定しておくか?」
「はいお願いします」
何を今更みたいな顔をされても。私女の子なんだからね? 筋肉ないよ?
「ん、ならそこにある球を触ってくれんか?」
探すとすぐに見つかった。
「これですか?」
それを少し持ち上げて、ベスさんに見せる。
「お、おうそれや。持たなくていいから、ゆっくりそれをおろして。ゆっくりやぞ」
あ、これ持っちゃダメなやつだったんだ。
「あ、すいません」
「いい、いい。言わなかったわしが悪い。もう計り終わったしええよ。触るだけでよかったから」
「そうだったんですか。それで、結果はいつ出るんです?」
「そうだな。明日にでも出ると思うからニーアに手紙を出して結果を伝えるわ。詳細はニーアから聞いてもらったらええ。順当にいけば二週間ぐらいでできるからな。」
「分かりました。ありがとうございました!」
そう言って武器屋を後にした。
そして、リターのいなくなった武器屋にて、店主は独りごちる。
「まさか盗難防止に重力魔法のかかった装置をいとも簡単に持ち上げるとは。魔力を測るためのもので、筋力を測れると言うのは口から出まかせだったんだが……そもそもあの扉を軽く開けたところから何となく予想はしていたが……あれ、わしが全力で押さないと動かない程重いはずだが……はあ。さすがあいつのお墨付きか。おいニーア。これで32個目の借りは返したぞ。何がお姉さんだ。わしと10も変わらんくせに。おばさんだろうが、おば……これ以上はやめよう。殺されたら構わんわ」
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