第20話 こちら言質になります、お納めください

 「どうしたの? そんなに慌てて」


ギルドに戻った私は事の顛末てんまつを話すために、お姉さんを呼び出していたんだけど、


「それで、ギルドの外にモンスターがいて入れないから誰か倒してくれないかなーって思いまして……」


素直にゴブリンが怖くて逃げてきたなんて恥ずかしくて言いたくないし、なんて思っていたから変にかしこまった言い方になっちゃった。


「採掘場にゴブリンがいて逃げて来ちゃったのね」


「そうです……⁉︎」


なんで分かった? ナチュラルすぎて思わず口を滑らせちゃったよ。


「どうやら図星のようね」


かまをかけられたみたい。後お姉さん、ため息をつくのはやめて貰えませんかね? い、命大事にって言ったのはそっちだし? まあバレてしまったものは仕方ない。正直に話すしかないかな。


「はい、採掘場に行ったらゴブリンが三匹ほどいて、そのうち一匹が弓を放って来たんですよ。それで怖くなって逃げて来ちゃいました。ほら私短剣一本しか持ってないし、長距離は不利かなって。装備を買うお金もないですし……」


「なるほど、わかったわ。じゃあ、装備があれば大丈夫なのね?」


「そうなりますね。そもそもお金があったらすでに買ってますけど……」


なんか自分で言っていて情けなくなってくる。一回防具屋さんとか覗いてみたけど、だいぶ高めの金額設定だったし。


「なるほど、言質げんちはとったわよ」


ん? 言質? 


「ところでリターちゃん今暇?」


ファーム出来ないから暇なのはそうなんだけど、お姉さんの笑顔が怖い。それに言質って何⁉︎


「はい……」


「なら、お買い物に行きましょうか」


え、買い物? 今から?

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