第19話 敵前トーボー

 家に着くと相当疲れていたのか、促されるままぐっすり眠ってしまった。


さて、お姉さんの家に来てから数日が経った。


やめて聞かないで、この数日の様子を。お願いやめて。惨めさメーターが爆上がりしてしまう。えっと、ファーム以外ホボニートシテマシタ。ウン。恥ずかしい。穴があったらどうしましょ。だって全部お姉さんがやってしまうんだもん。お手伝いする隙がないもん。


てなわけで、いつも通り朝からファームするために受付で受注を済ませ、荷車を引いて採掘場へ向かった。


でも今日はいつもと様子が違った。いつもはいないはずの人影が見えたのだ。もしかして同業者? そう思って近づいたけどどうも様子がおかしい。なんか緑色だし、子どもみたいに背が低いし。


もう少し近づいてようやく理解する。こーれゴブリンです。確か私の受けれるクエストの中にもゴブリン討伐があったような……これ、た、倒せんの? ナイフ一本で? なんやかんやモタモタしてるとドスっていう音が足元から聞こえた。


恐る恐る見ると地面には突き刺さった矢。そして前を見ると一匹のゴブリンが私目掛けて弓を向けていた。……遠距離攻撃は聞いてないよ!


そこからの私の判断は早かった。戦うのは無理と一瞬で諦めると全力疾走でギルドまで舞い戻った。もちろん荷物とかピッケルとかは放置して。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る