第21話 選択の余地、いずこ?

 私はお姉さんに連れられて、町の服屋さんというか防具屋さんに来ている。お姉さん曰く冒険者ように魔法の施された布を使って頑丈に作られているらしい。だから高いんだねー。ドアを開くと「カランコロン」という音と共に「いらっしゃいませー」と若い女の人の声が聞こえて来た。アパレルを思い出す。どんなものがあるのか見て回ろうとすると、


「私がコーディネートしてあげるから待っててね」


とお姉さんに試着室まで連れて行かれた。どうやら私に選択の余地はないらしい。


なんか安くて目立たないやつでいいんだけどね。性能さえ及第点なら。別に誰かに見せるわけでもないし、もちろん彼氏なんていないし。ちくしょう。いや別に欲しいわけじゃないんだけどね。ほんと、ほんと。強がりとかじゃなくて。


なんて考えていると両手いっぱいに服を抱えたお姉さんが戻って来た。思わずお顔を引き攣らせるほどの量。えー、私、今からこれ全部着るの?



 それから40分くらいかけて全て着終わった。お姉さんが褒めてくれるから嫌な気はしなかったんだけど、流石に疲れた。途中から店員さんも参戦して来てあれやこれや2人で議論していた。お姉さんの知り合いだったり、友達だったりするのかな? 私は着せ替え人形じゃないんだぞーっていう心の叫びも伝わるこはなかった。こういう時こそエスパーになって欲しい。いや実際気づいてたのかもしれないけど。そんな気がして来た。


 それからさらにしばらく待っていると、話がまとまったのか一着の服を持って来た。


「これに決まったわよ。これに着替えてちょうだい」


ほんとに私に選択権がないんだ。

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