第94話立花対濱口

女神とコイツがキスをした?



何を言っている?


女神が、そんな事をする訳がない。



俺を動揺させようと


しているだけだ。



そもそも、何故コイツは


俺に絡んでくる。



『やっぱり、


女神ちゃんとのキスは


聞いていないみたいですね?』


そう濱口が続けるが


立花は無視を決め込んだ。



その場から


立ち去ろうとする立花に


『後で本人に確認して下さい』


そう背中越しに、


まだ言っている。



イライラしている立花は


そのまま、会場の外に


出ようとした時に


オリファルコン社の


坂口に会った。



『副社長、いらっしゃって


いたんですね?』


にこやかに坂口が


そう話し掛けるが



頭に血が昇っている立花は


『悪いけど、腹立たしいから


帰ります』


そう言って


本当に宴会場から


出て行ってしまった。



立花の怒っている姿を


初めて見た坂口は


異常事態だと思って


立花を追いかけて



外へと向かい


『ちょっと待ってください』


『何が、あったんですか?』と


立花を捕まえて事情を


聞こうとする。



『どうもこうも


あの広告代理店の男は


何ですか?』



『しつこく俺に絡んできて』と言って


女神と自分が付き合っている事を


知っていた事を


喋ろうと思って止めた。



坂口が2人の事を知らないなら


余計な事を言って


勇足になってしまう。



『とにかくですね、


あの広告代理店の


男が来ているなら』


『俺は2度とオリファルコンの


イベントには一切参加しない』



『会長にそう言っておいて下さい』


そう言って本当に


帰ってしまった。



先日の記者会見の後にも


坂口は


濱口に色々と立花の事を


詮索されていた。



あの人なら立花に何か


失礼な事をしているのでは?と考え



インカムで会場にいる


オリファルコンの社員に


『広告代理店の濱口を


見つけて欲しい』と


コ-ルする。



すると権太坂のテ-ブルで


越中美桜と話しをしている


濱口の姿が見つかった。



越中美桜は芸能界での


ステップアップ方法を知っている。



大手広告代理店のベンツ-の


CMディレクター



知り合っていて損はない



むしろ深く知り合いになりたい。



そう瞬時に判断して


LINEのIDを渡している。



濱口も越中美桜の全身を


足元から舐めるように見て



スタイル、イイじゃん?と


頭の中で彼女を裸にしていた。



『今度、2人でメシでも


食いに行こうよ?』


濱口に誘われた美桜は


『はい、お願いします』と


笑顔で答えている。



そこに坂口が走って来て


『濱口さん、ちょっと


コッチに来てください』



そう言って会場の端に


連れて行こうとしているが


濱口は美桜に手を振って


愛想を振りまいている。



イイ所を邪魔された濱口は


『何ですか、急に』と


クチを尖らせて


用事の内容を聞くと



『濱口さん、ウチの副社長を


怒らせませんでした?』と聞くと



『あ〜、さっきチョット


喋ったけど』


『それが何か?』と


シラを切ってきた。



『あなたと話をして、怒って会場から


退場して帰ってしまったんです』と


坂口が説明すると



『立花さんも小さいな』と


濱口が笑っている



その話を聞いて


坂口がギョッとしていた。



『当社の社長は後藤ですよ』


坂口が、そう説明すると



『イヤだな坂口さん』


『GODさんが立花さんだって


女神ちゃんに聞きましたよ』


そう濱口が言った事で


完全に坂口の表情は固まっている。



女神ちゃんがバラした?



そんな訳ない



そう思いたい坂口だが


彼はGODの秘密を知っていた。



『何か勘違いをされているようですが


とにかく副社長には』


『今度、お会いしたら


非礼をお詫びしといて下さい』と


坂口が言うと



『わかりましたよ』と言って


笑いながら、そこから


消えていった。



歩きながら濱口は


立花は、やはりGODなんだと


確信している。



そして立花が怒って帰った原因が


濱口である事だと確信した坂口は


猪木会長を見つけて、その件を


報告した。



『副社長は?』


猪木会長は冷静に坂口に質問すると



『もう、だいぶ前に


会場を後にされています』と伝えると



『女神さんには、この件は?』と


質問をして



『いえ、まだ何も』


『会長への報告が先かと思い』と


報告した。



すると


『この後にバ-スデ-ケ-キの


セレモニーがあるから』


『何も言わないでイイ』



『とにかく今日のイベントを


無事に終わらせる事だけを


最優先にして下さい』


そう坂口に伝える。



そして


『濱口さんをココに


呼んでください』と


冷たく言い放ったのである。



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