第76話脅迫 1

女神が帰った後も

立花の表情は

崩れっぱなしだった。


目を閉じても

思い出せるほど

記憶に焼き付けた


女神のカラダの

全てを見れたのは

彼氏である立花の

特権であろう。


日本中が注目するほどの

美少女を自分の彼女に


出来たらなら

男にとっては天下を

取ったくらいの

価値がある。


そんな事を思っていて

ニヤケが止まらない立花の

電話が鳴った。


猪木会長からである。


先週の会議の後に

副社長就任を打診されて


考えさせてくれ、と

言った後


こちらから連絡を

入れていなかった。


『立花です』


とりあえず電話に出ると


『最近、お忙しいようで』と

開口一番、

イヤミを言われた。


『すいません、副社長就任の

話ですよね?』


『こちらから

連絡すべきでした』と

立花が言うと


『違いますよ』と

猪木会長が否定してくる。


『お忙しいようで』と

イヤミを言われた。


頭の中で、何に対しての

イヤミか?考えた立花が


思いついたのが


『すいません、最近

エクシブハンターに

ログインしていなくて』

と謝る。


『そうですね、その事も

聞こうと思っていました』と

猪木会長が答え


その回答も違う事を

伝えてくる。


じゃあ、何だ?


立花は

他が、思いつかなかった。


『すいません、

お忙しいって何を

指しているんですか?』と


立花が降参して

猪木会長に聞くと


『絵色女神さんって素敵な

女性がいるのに』


『他の女の子と手を繋いで

日曜日にデ-トを

するなんて』


『昔からは

想像出来ないくらい

活発になられたな?と

思って』と

笑いながら言っている。


秘書さんに見られた

蝶野との日曜日の件か?


そう思った立花は

『秘書さんから

聞いたんですか?』と

会長に質問すると


『誰が見ているか、

わからないですから


ご注意ください、って

事です』と

あんに

正解だと伝えてくる。


『誤解がないように

言っておくと、

彼女は会社の後輩で』


『彼女が参考書を買うのに

俺が付き合った

だけですよ』と


誤解だと言う事を

アピールした。


『そういう事は

女神さんに説明して

あげてください』と

猪木会長は笑って、

取り合わない。


『別に女神に怒られても

いませんし、

ケンカもしていません』


『ついさっきまで、ココに

いましたから安泰です』と

猪木会長に説明する。


『そうでしたか』

『だったら良かった』


『私も既に女神さんの

ファンですから


彼女を泣かす事が

ないように

お願いします』と

猪木会長に言われて


『もちろんです』と

立花が答え


『来週の女神の誕生日を

俺の家で祝おうって

話していたんです』と

交際が順調な事を

アピールすると


『それだ』と


猪木会長が大きな声で

言ってくる。


『何ですか?それだって』

立花が質問すると


『今日、

電話した本題です』と

電話口で説明を始める。


記者会見をして、

エクシブハンターの

世界大会を発表して


CMの放映も始まったが

もう一段、

世間の注目を浴びる

話題が欲しかった。


中だるみ


最初の話題提供から

時間が経過すると

情報の新鮮度は

落ちていく。


そこで猪木会長は

テコ入れに

なるような企画を

立花に相談したかった、

そうだ。


今やSNSのフォロワー数が

日本一位になった


女神の誕生日会を

オリファルコン主催で

開催すれば


マスコミの関心も高まり

フォロワー宛に

発信して貰う計画を

思いついたらしい。


『サニーミュージックに

連絡してみます』と

慌て猪木会長は

電話を切った。


『何、なんだ?』


一方的に

電話をかけてきて


イヤミを言われた後に

用件が済んだら

一方的に電話を切られた。


怒っても、

良いとこじゃないか?


そう考えている立花だが

一つ気になっていた事も

あった。


蝶野と会っている所を

他にも

目撃されているのでは?と

思い始めていたのである。


オリファルコンの

秘書さんは


バッタリ会ったので

向こうから

声を掛けて来たが


自分と蝶野が

並んで歩いている所を


目撃しているが

声を掛けて来ない

人間もいるだろう。


蝶野が積極的に

アプローチをして来ており

彼女の気持ちも知っている。


この前はキスもされた。


だが自分には女神がいる。


変に期待を持たしても悪い。


そう考えて、蝶野と会うのを

止めようと考えている。


だが約束の前日に

ドタキャンした上に


もう2人きりでは会えないと

彼女に伝えるのは

酷じゃないか?


そう考えた立花は


『明日は池袋のアニメイトに

14時で大丈夫ですか?』と

彼女にメッセージを送る。


すると、すぐに


『その予定通りで

大丈夫です』


『今は明日、着ていく服を

選んでいました』


『リクエストがあったら

言って下さい』


『コスプレもレ-ルガンとか

レムなら持ってますよ』と


明日が楽しみだと言う

長文が

蝶野から送られてきた。


こんなに楽しみにしている

蝶野に残酷な事を

告知しないといけない。


立花は心に少し痛みを

感じながら


『了解です』と

返信をしたのであった。


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