第75話初夜 4

女神は朝6時過ぎに

目を覚ました。


昨夜の事が夢じゃない証拠に

裸の立花がいびきをかいて

横で寝ている。


昨日、寝たのはおそらく

25時過ぎだが


どの瞬間から寝たのか?

覚えていないほどだった。


一回目は痛みしかなかったが

二回目では、溶けそうに

なっていた事を覚えており


自分が自分では、

なくなるほどになった事が

今でも信じられない。


その張本人は

幸せそうな顔をして

寝ている。


ここで女神に

イタズラ心が芽生え


立花の、ほっぺたを指で

プニプニ押して遊び始めた。


実家にいる時から

寝ている兄弟を起こす時は

毎回、この方法だった女神は


慣れた手つきで

ほっぺを、つねっている。


すると立花が違和感を感じて

目を覚ます。


『う〜ん?』

『女神?』

『おはよう』


心身共にスッキリした立花も

寝起きは良かった。


時間を確認すると6時過ぎだ。


『今日は何時に家を出る?』

女神に出発時間を確認すると


『9時過ぎに出れば間に合うと

思います』と女神が答えると


『朝ご飯は冷蔵庫に

買ってあるから』と言って


女神を自分の方に引き寄せた。


『待ってください』

『出かける支度もあるから』


そう女神が言ったが

結局は立花に負けてしまい


ベッドの中でイチャイチャ

となってしまった。


終わった後

『もう〜』と


女神は言っているが

全然怒っていない。


仰向けに寝ている立花の胸に

自分の頭を乗せて

目を閉じていたからだ。


『立花さんが、こんなに

ケダモノだって

知りませんでした』


『よくアタシ、

初めて泊まった時に

無事でしたよね?』と


立花に

驚きとも、文句とも

取れる言葉を投げかけると


『俺は自分の彼女には

徹底的に甘えます』


『でも彼女以外の女の子とは

2人きりでいても我慢します』と


蝶野と2人きりの時に

もう少しで押し倒して

いたかもしれない事を

棚に上げて語ると


自分の時には確かに

そうだったと実感した

女神は嬉しくなり


『もっと、いっぱい

甘えて下さい』と言って、

強く立花に抱きついた。


いつまでも

裸でいる訳にもいかず


2人が服を着ようとした時に

女神がシ-ツに

鮮血のシミがある事に気付き


『すいません、汚して

しまいました』と謝っている。


それを聞いた立花は


『謝る事なんてないよ』


『これは女神の初めての人に

俺がなった証でしょ?』


『女神が生きて来た中で

初めて許した男だと思うと

身が引き締まる思いです』と

説明して

彼氏の勲章のように語っている。


ベッドを降りて

立ち上がった女神だが

股間に違和感を感じた。


すぐに立花が気付き


『どうした?』と

女神に確認すると


『なんか、まだ立花さんのが

残っている感じなんです』と

違和感の原因を説明してくる。


『トイレに行ったら

治るんじゃない?』


根拠のない説明を

立花はしたが


初めての感覚に

困っていた女神は


その言葉に従い

トイレに駆け込んだ。


その間に立花は

前もって買っておいた

朝ご飯を冷蔵庫に取りに行く。


トイレに入った女神は

小さい方をすると


少し染みたような

痛みを感じた。


でも血は止まっている。


だが何か

挟まっている感じは

変わらない。


しょうがないか


そう諦めて

トイレを出る女神


立花は朝ご飯の

サンドウィッチと

サラダを準備していた。


『いつも、すいません』と

女神が謝るが


立花は全く気にせずに

『どれ食べる?』と

朝食を女神に

選択するように促す。


ハムのサンドウィッチを

選んだ女神がパクついた時に


『次の休みは

決まっているのか?』と

質問をした。


すると食べる手を止めて


『すいません、1ケ月先まで

スケジュールが

埋まっているようで

私にも分かりません』と

申し訳なさそうにした。


『来週の土曜日が女神の

誕生日だったろ?』


『何か、してあげたいと

思っていたんだよ』と


誕生日パ-ティーを

催したい計画を打ち明けるが


『あ〜ん、絶対にしたい』


『でも、予定がわかんない』と

悶絶する彼女


『ケ-キを買って、ローソクを

18本点けて』


『ピザ-ラを頼んだら

ちょっとしたパ-ティーが

ココでも出来るだろ?』


その計画を聞いた女神は

楽しみになり


『いつ、します?』と

興奮して立花に聞くが


自分の予定次第だと思い出し

『あ〜ん、どうしよう?』と

悔しそうにしていたので


『今日みたいに前日に連絡を

くれたら何とかするよ』


『それに、誕生日の前後でも

女神が良かったら』


『その日に開催しても

良いんじゃないか?』


そう言われた女神は

『マネージャーさんに

すぐに確認して

連絡します』と

興奮気味に伝えている。


『立花さんと、お誕生日会

これを支えに1週間は

頑張っていけます』


女神はニコニコして

立花に宣言をしていた。


『誕生日プレゼントの

準備もあるから』


『分かったら早めに連絡して?』


立花にそう言われた女神は

『誕生日プレゼントに

お洋服をいっぱい買って

貰ったじゃないですか?』と

不思議そうに

立花に言ってくる。


『あれは、

誕生日プレゼントと言うより

日常生活品だっただろ?』


『ちゃんとしたプレゼントを

実は考えているんだよ』と

立花が言うと


困惑した表情に変わって


『アタシばかり、いつも

貰ってばかりで』


『何もアタシは

返せていません』


『結局、ご飯だって一度も

作っていませんし』と

申し訳なさそうに

女神が伝えてくる。


すると立花は笑顔で


『恋愛は見返りを

求めないんだよ』


『相手が喜ぶ顔が見たい』

『前にも言ったろ?』


そう言われた女神は


『なら立花さんを

一生愛します』と言って

忠誠を尽くす

宣言をするのであった。



そこからバタバタと

身支度をする女神に、

ちょっかいを出す立花


土曜日で休日の立花と違って

女神はテレビ局に向かわないと

いけない時間が近づいている。


すると


『あぁ〜あ、行きたくないな』


女神が仕事に行くのを

ゴネだした。


遊びたい盛りの17歳、

彼氏は休日

自分は休みナシで仕事


サボりたい気持ちも分かる


だが立花は


『女神さんは誕生日プレゼントも

ケ-キもいらないそうです』


そう、はやし立てて

女神を奮起させている。


『いります。プレゼントも

ケ-キも欲しいです』

泣きマネをする女神に


『サボったら

ナシだからな?』と脅して


『行きますから、

許してください』と

女神がおどけた。


昨日のように

人に囲まれた騒動を考えると


自由が丘駅まで歩いていくのは

無理だろう?


タクシーアプリで

アパートまで車を

呼ぶ事にして


女神を送る事にした

立花に


『いってきますのキスが

欲しいです』と

女神が玄関先で立花に

おねだりをする。


『しょうがねぇな』と

言いながら

立花が嬉しそうにキスをして


更に調子に乗って

胸に手を伸ばし

胸を揉み出した。


『うぅ〜ん』


クチを塞がれて抗議を

出来ない女神が抵抗するが


立花はお構いなしに

ぐわん、ぐわんと


大きく胸を回すように揉むと

カラダを離して女神が


『また、したくなったら

どうするんですか?』と

立花に文句を言うが


『また、

したくなっちゃうんだ?』と


立花がニヤニヤしながら

聞いてくる。


自分の顔が真っ赤になる事が

分かった女神が


『知らない』と言って

ソッポを向いた。



『そろそろ時間だよ』


立花にそう言われた女神は


『はい』と言って

アパートを出ながら


『お誕生日の日が、分かったら

すぐにLINEします』

そう言って出て行った。


お見送りに対しても注意が

必要と感じた立花は

外に出て来なかった。


代わりに

赤坂のテレビ局までの

タクシー代を女神に渡した。


赤坂のテレビ局に着いてから

楽屋に入った女神は


全身が映る姿鏡を見ながら

自分の全身を映して


身体を何回か、反転させて

自分で確認すると


『外側からじゃ、

分からないか』と


大人の女に変わった事を

確認している。



やがて

先輩達メンバーも合流して

スタジオに向かう。


先頭を颯爽と歩く女神


するとキャプテンの前田が

小走りで女神に近づいて


『女神、ガニ股だよ』と

耳うちした。


急な恥ずかしくなり

顔が真っ赤になる女神


その光景を見ていた

越中美桜は


『ヤッタな』と

呟いたのであった。




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