第38話決戦は木曜日
本来なら水曜日の夜から
絵色女神が来て
晩御飯を作って泊まり
翌日にはデ-トの予定だったので
わざわざ有給休暇にしたのだが
記者会見の日と被ってしまい
彼女のオフが消えてしまい
デ-トの約束は
反故となった木曜日
ゆっくり寝ていられる日だったが
サラリーマンの悲しい習性で
いつもの時間に起床してしまった。
深夜に女神から届いていた
LINEはどれも長文だった。
猪木会長と面談した事は
21時過ぎの食事タイムの報告で
聞いていたが
立花をオリファルコンに
入社する事に成功したら
成功報酬で実家を
プレゼントする話は
初めて聞いて
それを読んだ立花は
少し不機嫌になった。
それ以外の報告は記者会見の
全体リハーサルの進行が
細かく説明しており
『関係者以外には極秘だろ』と
立花は読みながら苦笑している。
『大舞台だけど
緊張せずに頑張れ』
そのLINEを送った10秒後に
女神から電話が入った。
『お休みなのに、
もう起きていたんですか?』
朝から元気な口調で
彼女が喋りだす。
プロジェクトビ-ナスは
絵色女神を日本中に
売り出す為の計画になっており
彼女が申し訳なくなるほど
彼女を全面的にアピールする
記者会見になるとの事だった。
当日、記者に質問された時に
困らないように記者からの
質問に対しての想定会話の
マニュアルまで
準備しているとの事だ。
この手の記者会見には
広告代理店が
絡んでいる事が多くあり
全て彼らが
お膳立てをしてくれる。
当然それなりの報酬を
要求されるが
リスクを回避したい
企業からすると
安い出費となっていた。
『立花さん、知ってます?』
『エクシブハンターの
世界大会があって』
『アタシと立花さんも
参戦する事が世界に
発表されるんですよ』と
興奮口調で彼女が説明するが
立花が猪木会長に
連絡を入れていた事は
彼女には内緒だ。
『あと、もう一つ
ビックリする発表があって』
彼女が話し始めた案件は
立花も初めて聞いた話で
『面白いじゃん?』と
立花が笑いながら答えた。
オリファルコン社の
広告活動の一環で
世界大会が開催されて
客寄せパンダや
オブザーバー的に
自分も参加すれば
良いのだろう?
そう甘く考えてい立花だが
俄然ヤル気になり
『女神、優勝目指すぞ?』と
必勝宣言を彼女に
出すほど真剣になった。
それを聞いた女神は
『立花さんも
記者会見に出ちゃえば
良いんじゃないですか?』と
無茶ブリをしてきた。
『バカな事を言うな』
驚くべき彼女の提案に
慌てふためく立花は
猪木会長にも
記者会見に出ないか?と
オファーを受けていた。
『会長に俺を
誘えって言われたのか?』
立花が彼女に質問すると
『会長さんには
何も言われてません』
『アタシが
心細かっただけです』と
彼女の単独オファーだと
言ってくる。
『部外者の俺が、そんな場所に
行ける訳がないだろう?』と
立花が言うが
『オリファルコンの社員の人は
初めて会うアタシに』
『GODさんは元気?とか』
『明日はGODさんは
出ないの?とか』
『みんなアタシに
聞いてくるんです』
『GODさんって、
みんなな人気者なんだって
アタシも嬉しかったんです』と
心境を告白してきたのである。
だからと言って
身元をバラすのはムリだ。
『俺は日の当たる表舞台が
苦手でGODとして
世間に出てないのに』
『それを記者会見なんて
絶対にムリ』と
断固として拒否する事を
表明した。
立花が嫌がっている事を
感じた彼女は
それ以上は誘わずに、
別の話をしだした。
朝の時間が無い中、
さっきから長い時間
電話をしていたので
『出かける準備は大丈夫か?』と
立花が聞くと
『準備しながら
電話しているから大丈夫です
まだ話せます』と
話し足りないように
説明をしてくる。
『ほどほどに、しとこうな?』と
立花が言うが
『だって外に出たら、立花さんと
話せなくなっちゃうんです』
『会えないのもイヤなのに』
『電話も出来ないなんて
辛すぎます』と
可愛い事を言ってきた。
『今日は何の予定も無いから、
いつでも電話をして良いから』
『空き時間に
電話をしてきて平気だよ』
立花にそう言われた彼女は
『ヤッタ-』と喜び
『なら、また後で
電話しますから』と言って
電話を切った。
やっぱり時間に
追われていたんじゃないか
そう考えて一人笑う立花だった。
場所は変わって立花達が
勤務する会社
棚橋は昨夜の事を
武藤慶子に聞きたくて
いつもより早く出社していた。
昨夜、3回目の発射をした後に
寝てしまい
気がついたら朝まで爆睡しており
一緒にいた慶子は
ホテルから居なくなっていた。
慶子に慰めて欲しいと言われて
何度も抱き合った事を
覚えているが何も言わずに
帰ってしまっていた。
酒を飲んでのエッチで
後半は棚橋も酔っており
記憶が定かではない。
清楚な慶子が乱れていた姿は
今思い出しても興奮してしまう。
あわよくば今日も
そんな気持ちが入り混じり
会社へ急ぎ廊下で慶子を
見つけた。
『慶子ちゃん、ちょっと良い?』
昨日の余韻があり笑顔で棚橋が
話しかけると
何も言わず、
蔑む視線で棚橋を見て
『話しかけないでください』と
棚橋を拒絶したのである。
『え?』
昨日、あんなに激しく
エッチしたのに
何故?
『ちょっと待ってよ慶子ちゃん』
驚いた棚橋が彼女の肩に
手をかけようとすると
『イヤ』
そう言って手を払ってイヤがる。
俺は何かをしでかしたか?
棚橋は動揺しているが、
このままで
やり過ごす訳にもいかない。
廊下で揉めている姿を
他の誰かに
見られても困る。
『触らないし、近づかないから』
『場所を食堂に変えない?』
棚橋のその提案に、
警戒心丸出しの視線で
コッチを見ながら
2mほど離れて
食堂に付いててきた。
食堂が2人きりな事を
確認して棚橋が
『俺、昨日何か
失礼な事しちゃった?』
酔って後半戦を覚えておらず
自信なさげに聞くと
『信じられない』
そう言って彼女が更に棚橋から
距離を取るように離れた。
『ゴメン、
俺何をしちゃったかな?』
そう尋ねると
『私が酔ったのを、いい事に
ホテルに連れこんで
乱暴したくせに』と
怒り口調で答えてくる。
『待ってよ、覚えてない?』
『慶子ちゃんが慰めて欲しいから』
『エッチしたいって言ったんだよ』
棚橋がそう言って
必死に弁解するが
『あんまりです、
私そんな恥ずかしい事
絶対に言いません』
そう突っぱねられてしまった。
棚橋は混乱している。
俺が間違っているのか?
清楚な慶子ちゃんが、
あんな事を
言う訳ないんだよ。
『酔った慶子ちゃんを
俺が無理やり?』
棚橋が
自問自答するように呟くと
『私ホテルの中で
何って言ってました?』
そう言われたが思い出せない
『意識のない私に
乱暴したんですよ』
確かにホテルに入る前から、
一切彼女とは喋っていなかった。
『会社にも言いますし』
『告訴も考えています』
そう言われた棚橋は
全身の血の気が
引いていくのがわかった。
合意の上だった筈だ。
だが武藤慶子の態度は強硬だ。
『証拠だって、あるんです』
そう言って慶子はスマホで
写真を見せる。
そこには丸裸で
下半身丸出しの姿で
寝ている棚橋の写真があった。
場所は昨日のホテルだ、
間違いない。
終わった。
棚橋がそう思った瞬間であった。
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