第32話潜入、千歳烏山大作戦 2

自由が丘駅から千歳烏山駅まで

電車で約40分ほどだが


帰りは電車が終わった後だから

タクシーで帰らないと、

いけない。


着いたら軽く励まして、すぐに帰れば

4時間は寝れるだろう?


明日の仕事を考えたら、

それが一番だ。


電車の中で、色々な事を考える。


そもそもマンションは

俺が行っても入れるのか?


オ-トロックや

パ-フェクトセキュリティ

だったら、


着いたは良いが、中には入れず

ロミオとジュリエットみたいに


ベランダと一階で、

離れた場所での

面会なんてのはイヤだ。


そんな事を考えているうちに

電車は千歳烏山駅に着いた。


絵色女神から

前もって聞いていた住所を

ナビに入力すると


駅から歩いて10分ほどで、

一棟のマンションに着いた。


メインエントランスに

インターホンがある

オ-トロックタイプの

マンションだった。


すぐに彼女に

『着いたよ』と

電話を入れると


『今、開けます』と

言うのと同時に

メインエントランスの

ロックが解除された。


部屋は602号室だったな。

エレベーターに乗り6階に到着、

部屋の前に着いたので

ドア横のインターホンを鳴らす


『は〜い、開けます』と

彼女が答えドアが開いた。


その瞬間、

彼女が抱きついてくる。


『おかえりなさい』

彼女は笑顔で、そう言って

抱きついたままだが、

立花はココに来るのは初めてだ。


立花の胸に顔を埋めている

彼女に

『俺がピザ屋だったら、

どうするんだ?』と

聞くと


『ピザ屋さんは、

この時間は寝ています』と言って、

玄関先で抱きついたままである。


『元気そうだから、帰るよ』

いつまでも抱きついたままの

彼女に、そう言うと


パッと、体を離し

『本当に帰っちゃうんですか?』と

クチを尖らせて文句を言ってきた。


『だって玄関先で、抱きついたまま』

『通せんぼされたら、

帰るしかないだろ?』と、

立花がイジワルを言うと


『ちゃんと、離れましたよ』と

言って困った顔をした後に


『どうぞ、こちらへ』と言って、

家の中へ招き入れる。


作りは2DKで、

スト-カ-事件の後に

緊急避難をしている

仮住まいなので


一部屋は倉庫のように

段ボールが山積みに

なっていて、

実質1DKのような使い方を

している。


立花の部屋と似ており

ベッドと小さなテ-ブルがあり

化粧台があるのが違う部分だ。


仮住まいなので殺風景なのは、

しょうがないかもしれないが

年頃の女の子が住むには

寂しい感じではある。


『コ-ヒ-で良いですか?』


飲み物を準備しようとしている

服装が、ブラウスに

丈の長いスカ-トな事に気付き


『シャワーを浴びているんじゃ

なかったの?』と聞くと


あたふたしながら

『立花さんが来る事に

なってから、

急遽お部屋を片していたら』


『シャワーを浴びている時間が

無くなってしまいました』


『アタシ臭かったですか?』と

1日働いてきて

自分の汗臭さを気にする彼女に


『いや〜、良い匂いだったよ』と

言うと


『も〜う』と言って、

立花の所に近づいて来て、

軽く胸を叩いた。


その姿が可愛いく見えた立花は、

自分から彼女を抱きしめて


『今日はゴメンね』と

彼女に謝ったのである。


抱きしめられたままの彼女は

『謝られるような事は

されてません』


『むしろ、アタシが謝らないと

いけないじゃないですか?』


そう言われた立花は

彼女から離れて


『何で?』と質問をする。


『だって立花さんが

アタシの為に色々と

準備をして下さったのに』


『芸能界を辞めたいなんて

泣き事を言って』


『明日も、お仕事の

立花さんを困らせて

ココまで来させて』


『アタシのワガママに、

いつも立花さんを

付き合わせてばかりで..』


絵色女神がそこまで

言った時に


彼女にキスをして黙らせた。


ビックリして

目を見開いていた彼女だったが、

やがてウットリと目を閉じて


立花の唇を確認するように

頭を動かして、

自分の好きな角度でキスをする。


息継ぎをするように

2人が唇を離すと


『女神ちゃんが喜ぶ事を

俺がしたいんだ』


『今日の事はサプライズ過ぎて、

驚かせちゃったみたいだけど』と

立花が説明した。


照れて赤くなった彼女は急に

恥ずかしくなったようで


『やっぱり、

シャワーを浴びてきますから』


『寝ないで

待っていてくださいね』と言って


立花から離れて

別の部屋に入ってしまった。


こちらの部屋に戻ってきた

彼女が着替えを胸に抱えて

『一緒に入ります?』と

立花に聞いてくる。


突然の爆弾発言に

ビックリした立花も


『今日は良いよ』と

ドギマギして答えると


言い出した彼女の方が

赤い顔になり


『行ってきます』と言って

風呂場に向かう。


一緒に風呂に入ったら、

暴走しちまう


彼女を抱きしめたり、

いきなりキスをしたり


今の自分は、

すぐに狼モ-ドに入ってしまう。


彼女も落ち着いたようだし、

顔も見れた。


明日は会社だし、

彼女が風呂から出て来たら

おいとまをしよう。


立花は、そう決めて

彼女の風呂上がりを

待っていた。


やがて風呂から

上がった彼女がパジャマ姿に、

濡れた髪をタオルで

拭きながら歩いてくる。


その姿を見た立花が

『元気そうな顔が見れたから、

そろそろ俺は帰るよ』と

彼女に告げると


すごく寂しそうな顔に変わり

『はい』と

小さく返事をした。


この状態のままは良くないな。


時間は深夜1時30分、

30分帰る時間を

遅くしても

さほど変わらない。


『もうちょっとだけ話す?』


立花が、そう話すと

嬉しそうな顔になり


『いいんですか?』と、

聞き返してくる。


『なら、あと30分だけ

話そうか?』

立花が、そう聞くと


『ありがとうございます』と

言って

絵色女神は立花に

抱きついてきた。


上下同じ柄のパジャマを

着た彼女が立花に

抱きついた瞬間に


さっき抱きしめた時との

違和感を立花は感じていたが、

特に気にも止めなかったのである。

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