第9話女神様とデ-ト

オッパイを触ってしまった事件が

落ち着いた2人は

お互いの今日の予定を

教えあっていた。


立花はいつも通り7時30分に

家を出る予定で、

彼女は9時に港区のレコード会社に

集合との事だ。


『アタシも立花さんと同じ時間に

家を出ます』


『新人は集合の30分前に到着が

基本だから、

丁度良い時間なんです』と報告。


時間はまだ5時30分


時計を見た立花が

『朝メシを買いにコンビニに

行ってくるよ』


『何かリクエストある?』と

聞くと


『アタシも一緒に行って

良いですか?』と

彼女も同伴したいリクエストを

言ってくる。


『歩いて5分くらいの場所だから』

『すぐに帰って来るけど』と言うが


『たくさん買って貰っても

食べきれないし』と

前日の大量、

朝ご飯事件をイジるように

笑いながら彼女が言うと


『あの量は、

やっぱり多過ぎだった?』と

照れながら立花が聞いてきた。


『冗談です、残った分は

お昼ご飯にさせて貰いました』


『あのサプライズは、

すごく嬉しかったです』


『今朝は単純に立花さんと一緒に

コンビニに行きたいだけです』と

言われ


笑顔の美少女から、

そう言われて

断れる男がいるだろうか?


『そうなんだ』

『じゃあ、一緒に行こうか?』と

平静を装い2人で

コンビニに行く事となった。


立花は絵色女神が他の人に

バレないか?

心配をしているが


当人は全然平気で

『アタシの事を

知っている人なんて、

いないから平気ですよ』と

笑っている。


『立花さんだって

知らなかったじゃないですか』と

言われ


『俺は知っていたし、

ファンだった』と

心の中で叫んでいたが


『それでも何かあったら、

マズいよね?』と言う立花の

アドバイスを聞いた彼女も


やはり心配になったようで

野球キャップに伊達メガネ、

それにマスクの完全防備で向かう。


早朝のコンビニなので客はおらず、

2人で仲良く商品棚を

見ていても誰の迷惑にもならない。


むしろ他の客がいたら、

2人は付き合っている

カップルだと思うだろう。


ハムとタマゴの2種類が

入っているサンドイッチを選び


『じゃあ俺はタマゴを食べるわ』と

男が言うと、横にいた女は


『じゃあアタシはハムを食べます』と

答えており


独身で恋人のいない人間が

棚の順番待ちをしていたら


『2つ買って家でやれ』と

奥歯を噛み締めながら

言いたくなるほどの

イチャイチャぶりだった。


それは当人も感じているようで

『楽しいな』

『デ-トって、

こんな感じなのかな?』と

立花に聞いてきた。


『デ-ト?』


これはデ-トになるのか?


立花は彼女に言われて、

急に意識をしてしまう


『確かに楽しいね』

当たり障りの無い回答で

立花が答えると


『アタシって、デ-トって

した事ないんですよ』


『男の人と付き合った事が

無いんです』と

申告をしてくる。


男の人と付き合った事が無い


ピュアエンジェル


立花は目を閉じて、

遠くの世界に行っている。


ネットの情報で

最近の女子の中には、

モラルの低い女性も

多くなってきていると

思い込んでいる立花は


自分自身が10年近く

女性から遠ざかっていたので、

彼女のような女性を求めていた。


経験人数が多く、

瀬戸内海の小さな島の

人口くらいの男性経験がある

女性は苦手だった。


『女神ちゃんモテてたでしょ?』

彼女ほどの美人が、

この歳まで付き合った男性が

いないとは信じられない立花が


疑っている訳じゃないけど、

本当はどうなの?って

オブラートに包まれた

質問をすると


『女子校だったので、

そういうのが無かったんです』と

言われ、

ジ エンドとなったのである。


中学の時は、どうなんだよ?

バイト先では、いたんじゃない?

通学バスとかで

告られていたんじゃない?


女性から『女子校でした』と

言われた後に


この手の不粋な質問をすると

女性には嫌われる。


その事を本能的に感じた立花は

質問を終了して

『家に帰ろうか?』と

話を変えた。


歩いて5分のコンビニを

仲良く話しながら

10分かけて帰宅する。


その帰路の途中、

彼女から提案があった。


何度も泊めて貰った上に

交通費のカンパや食事の支援、

これからもゲ-ムを教えて貰いたい。


だから、そのお礼として

ご飯を作らせて欲しい。


だが立花の家には食器はおろか、

家電が無い。


『食器とかを今後も

揃えるつもりは、ありませんか?』


『道具や食器があれば、ア

タシが作りに来ます』


『これから仕事が空いた時は

アタシが立花さんの

ご飯を作らせてください』


『これくらいしか、

お役に立てませんから』と

言われ


これからも会えるの?


しかも手料理を作りに来てくれる?


心の中でガッツポーズをした

立花は

『女神ちゃんが

作りに来てくれるなら、

家電も食器も買ってくるよ』と

冷静を装って答えた。


それを聞いた彼女は

『え〜?、一緒に行っちゃ

ダメですか?』と残念がる。


『アタシも見て

一緒に選びたいです』と

可愛い事を言ってくる。


『自由が丘駅の反対側に

ヤマダ電機があるから一

緒に行こう?』


『食器類は駅の近くの

東急ストアの3階に

100円ショップのダイソーが

あるから』


『そこで揃えるのは、

どうかな?』と

立花が提案すると


『いつ行きます?』

『今日にします?』と

彼女が目を輝かせて喜んでいる。


『店は20時まで

やっていると思うから、

仕事帰りに、どう?』と

聞くと


『アタシはラジオ番組が

18時までだから

大丈夫だと思います』


『終わる時間が分かったら

LINEします』と

前のめりに彼女が予定を

確定させた。


『それは2回目のデ-トになるの?』

立花がそう尋ねると


『はい、2回目のデ-トです』と

胸を張って彼女が答える。


そんな微笑ましい会話をして

アパートに着いたのであった。

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